ホルモン受容機構異常に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633016A
報告書区分
総括
研究課題名
ホルモン受容機構異常に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
松本 俊夫(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所 核内情報研究分野)
  • 森 昌朋(群馬大学大学院医学系研究科 病態制御内科学)
  • 妹尾 久雄(名古屋大学環境医学研究所 分子細胞適応部門)
  • 中村 浩淑(浜松医科大学 内科学第二)
  • 赤水 尚史(京都大学医学部附属病院探索医療センター 探索医療開発部流動プロジェクト部門)
  • 大薗 惠一(大阪大学大学院 医学系研究科 内科系臨床医学専攻 情報統合医学 小児科学)
  • 田中 弘之(岡山大学大学院 医歯学総合研究科 小児医科学)
  • 福本 誠二(東京大学医学部附属病院 腎臓内分泌内科)
  • 井上 大輔(帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 )
  • 皆川 真規(千葉大学大学院医学研究院 小児病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、副甲状腺関連疾患として偽性及び特発性副甲状腺機能低下症、ビタミンD抵抗性くる病とその類縁疾患、甲状腺関連疾患として甲状腺ホルモン不応症、TSH受容体異常症、TSH受容体抗体病(バセドウ病)などのホルモン受容機構異常に起因する難病とその関連疾患について、患者実態を把握すると共に、基礎・臨床両面からの研究を発展・融合させることにより原因・病態の解明、診断基準の作成、治療法の確立を行うことを目的に行われた。
研究方法
PTH, 活性型ビタミンD、甲状腺ホルモン、TSHなどのホルモン作用による細胞内情報伝達系のin vitro解析およびこれらの受容機構異常症の疾患モデルとなる遺伝子操作動物の解析に基づき疾患病態の理解や新規治療法の開発への基盤を築くと共に、これらの情報に立脚して臨床症例の病態解析、遺伝子異常の診断法やホルモン血中濃度測定系の確立、疾患感受性遺伝子の解明などを行った。
結果と考察
PHP-IbにおけるDNAメチル化異常パターンの解明やCaSR異常症の病態解析、ビタミンD受容体の正・負の転写制御機構や組織特異的作用、新規リン調節因子FGF23の血中濃度測定系の確立と各種リン代謝異常症における測定・解析、TSH受容体の新規変異体の同定およびその機能、Graves病および眼症の疾患感受性遺伝子の同定、甲状腺ホルモン受容体による新たな正・負の転写調節機構などの知見が得られた。これらの基礎的・臨床的な知見に基づき各種ホルモン受容機構異常症の適切な診断基準および予防・治療指針を確立することが当班研究の最大の目的であり、現在重点項目としてリン代謝異常症、CaSR異常症を含めた副甲状腺機能低下症、甲状腺クリーゼの全国調査などに立脚した診断指針の策定を進めている。
結論
副甲状腺、甲状腺機能に関わるホルモン受容体シグナルの解析とその不全状態・抵抗性病態の分子機序の解明は、様々なホルモン受容機構異常症、受容体異常症の診断・治療に有用な情報となる。遺伝子診断としてのPHPにおけるエピジェネティックな遺伝子異常の解析法やTSH受容体遺伝子変異のスクリーニング法の確立、リン代謝の臨床に多大な変化をもたらし得るFGF23の血中濃度測定法の確立とリン代謝異常症における意義の解明、疾患発症の予防や早期発見に貢献し得るGraves病・Graves眼症の疾患感受性遺伝子の同定、などの成果は病態の理解、診断、治療の面から直接的に日常臨床に還元し得るものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-