文献情報
文献番号
200633015A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
金子 史男(公立大学法人福島県立医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 大野 重昭(北海道大学大学院医学研究科)
- 小野江 和則(北海道大学遺伝子病制御研究所)
- 猪子 英俊(東海大学医学部)
- 磯貝 恵美子(北海道医療大学歯学部)
- 桑名 正隆(慶應義塾大学医学部)
- 鈴木 登(聖マリアンナ医科大学)
- 石ヶ坪 良明(横浜市立大学大学院医学研究科)
- 水木 信久(横浜市立大学大学院医学研究科)
- 川島 秀俊(さいたま赤十字病院)
- 小熊 惠二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 中村 晃一郎(福島県立医科大学医学部)
- 小林 浩子(福島県立医科大学医学部)
- 稲葉 裕(順天堂大学医学部)
- 太田 正穂(信州大学医学部)
- 内藤 真理子(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦におけるベーチェット病(BD)患者の病因・病態解析、治療法と疫学的調査に関する研究を行う。
研究方法
1.前年度の研究方法を踏襲し、BDの病因・病態解析と新しい治療法の開発を行った。2.疫学面では患者数、予後、口腔内アフタを含めたQOL調査について検討した。
結果と考察
BD発症に関わる責任遺伝子(内因子)のHLA-B*510101浸透性の解析から本症が中東地域から伝播した可能性が示され、各病型の発現はA*2601とB*5401が関与している。
発症外因子としての口腔内細菌S.sanguinisのheat shock protein (HSP)-65とヒトホモログHSP-60の相同ペプチドは患者T細胞エピトープと対応し、炎症性サイトカインの産生を抑制したことから、免疫寛容を誘導し得る可能性を示した。
活動期BD病変部および末梢血にはNK, CD8+T、γδT細胞がNKG2Dを発現し、HLA-B51陽性患者に細胞傷害性がみられた。非活動期にはNK細胞はNK2細胞に偏倚していた。病変部からのTNF-α、IFN-γは細胞内の転写因子signal transducer and activator protein-1発現を増強し、CCR5、CXCR3の発現を亢進させた。末梢血単核球にはtoll-like receptor-2,4,9が発現しており、自然免疫機序が重要な役目を演じている。
治療に関して、シクロスポリン感受性に関わる遺伝子多型の存在が明らかにされ、抗TNF-α抗体によるぶどう膜炎の治療法が確立され、治療薬として新しく保健収載された。今後は神経型BD患者の治療にも応用可能である。動物モデルの実験的自己免疫性ぶどう膜炎にcationic antimicrobial protein 18,heme oxygenase -1, オステオポンチンなど、将来の新しい治療への展望が示された。
疫学調査から発症年齢は男女共30才代で、1972年調査より10才ほど高かった。電子入力データによる調査が可能になり、8,610件の分析ができた。男女比は0.88で女性にやや多いが、眼症状など重症例は男性に多い。口腔内アフタの出現はQOLを低下させた。
発症外因子としての口腔内細菌S.sanguinisのheat shock protein (HSP)-65とヒトホモログHSP-60の相同ペプチドは患者T細胞エピトープと対応し、炎症性サイトカインの産生を抑制したことから、免疫寛容を誘導し得る可能性を示した。
活動期BD病変部および末梢血にはNK, CD8+T、γδT細胞がNKG2Dを発現し、HLA-B51陽性患者に細胞傷害性がみられた。非活動期にはNK細胞はNK2細胞に偏倚していた。病変部からのTNF-α、IFN-γは細胞内の転写因子signal transducer and activator protein-1発現を増強し、CCR5、CXCR3の発現を亢進させた。末梢血単核球にはtoll-like receptor-2,4,9が発現しており、自然免疫機序が重要な役目を演じている。
治療に関して、シクロスポリン感受性に関わる遺伝子多型の存在が明らかにされ、抗TNF-α抗体によるぶどう膜炎の治療法が確立され、治療薬として新しく保健収載された。今後は神経型BD患者の治療にも応用可能である。動物モデルの実験的自己免疫性ぶどう膜炎にcationic antimicrobial protein 18,heme oxygenase -1, オステオポンチンなど、将来の新しい治療への展望が示された。
疫学調査から発症年齢は男女共30才代で、1972年調査より10才ほど高かった。電子入力データによる調査が可能になり、8,610件の分析ができた。男女比は0.88で女性にやや多いが、眼症状など重症例は男性に多い。口腔内アフタの出現はQOLを低下させた。
結論
BDの発症・伝播様式、口腔内細菌に対する自然免疫機序、免疫反応異常の病態が解析され、治療の開発、疫学調査から、新知見が数多く得られた。
公開日・更新日
公開日
2007-05-02
更新日
-