文献情報
文献番号
200633014A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
- 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科免疫病態内科学)
- 平林 泰彦(東北大学医学部附属病院血液免疫科)
- 簑田 清次(自治医科大学アレルギー膠原病学講座)
- 伊藤 聡(筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床免疫学)
- 三村 俊英(埼玉医科大学リウマチ膠原病学部門・内科学)
- 竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センター)
- 高田 和生(東京医科歯科大学医学部附属病院膠原病・リウマチ内科)
- 三森 明夫(国立国際医療センター第一病棟)
- 平形 道人(慶應義塾大学医学部内科)
- 天野 浩文(順天堂大学医学部膠原病内科)
- 広瀬 幸子(順天堂大学医学部第二病理)
- 首藤 紘一(財団法人乙卯研究所)
- 三宅 幸子(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
- 加藤 智啓(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター免疫研究室)
- 山田 亮(京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター)
- 西本 憲弘(大阪大学大学院生命機能研究科免疫抑制学講座)
- 能勢 眞人(愛媛大学大学院医学系研究科ゲノム病理学分野)
- 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
- 江口 勝美(長崎大学大学院医歯学総合研究科病態解析・制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
当研究事業の対象とする疾病は、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)、シェーグレン症候群(SS)、成人発症スティル病であり、これら自己免疫疾患、特にSLEの遺伝要因の研究、T細胞、樹状細胞などの免疫担当細胞の研究、自己抗体などの液性因子の研究、疾患活動性に関する研究、新しい治療法に関する研究を行った。
研究方法
分担研究者によるSLE患者DNAサンプル収集、新しい治療に関する治験などは共同作業を行ったが、それ以外は個々の研究室での個別研究である。
結果と考察
以下、主な研究結果を示す。
1 BXSBマウスのループス腎炎は、IL-4低産生性のIL-4受容体α鎖遺伝子多型と相関することを見いだした。
2 SLEモデルマウスにおける腎炎と強い関連があるヌクレオソームについて、脾臓のマクロファージを中心とした貪食細胞が、ヌクレオソームを抗原提示していることを突き止め、これをクロドロネート・リポゾームにより除去することで腎炎が抑制されることを示した。
3 SLEで高頻度に見られる抗リン脂質抗体症候群の責任自己抗体に関して、モノクローナル抗体(231D)がプロトロンビナーゼによるトロンビン生成を増強するだけでなく、対応抗原であるプロトロンビンを介して直接向く血栓細胞に結合し、血栓傾向を誘導している可能性を示した。
4 B細胞の表面抗原であるCD20に対するモノクローナル抗体をSLEの治療に用いる試みを推進した。
5 抗IL-6受容体抗体を用い、SLEに対して探索的治療を行い、発現量の変化する遺伝子をDNAチップで解析した結果、インターフェロンとTGFβのシグナルの増強とTNFのシグナルの抑制がSLEの病態形成に関与していることが示唆された。
1 BXSBマウスのループス腎炎は、IL-4低産生性のIL-4受容体α鎖遺伝子多型と相関することを見いだした。
2 SLEモデルマウスにおける腎炎と強い関連があるヌクレオソームについて、脾臓のマクロファージを中心とした貪食細胞が、ヌクレオソームを抗原提示していることを突き止め、これをクロドロネート・リポゾームにより除去することで腎炎が抑制されることを示した。
3 SLEで高頻度に見られる抗リン脂質抗体症候群の責任自己抗体に関して、モノクローナル抗体(231D)がプロトロンビナーゼによるトロンビン生成を増強するだけでなく、対応抗原であるプロトロンビンを介して直接向く血栓細胞に結合し、血栓傾向を誘導している可能性を示した。
4 B細胞の表面抗原であるCD20に対するモノクローナル抗体をSLEの治療に用いる試みを推進した。
5 抗IL-6受容体抗体を用い、SLEに対して探索的治療を行い、発現量の変化する遺伝子をDNAチップで解析した結果、インターフェロンとTGFβのシグナルの増強とTNFのシグナルの抑制がSLEの病態形成に関与していることが示唆された。
結論
平成18年度は、新しい研究体制での2年目であり、多くの分担研究者が独自の研究を展開した。また、本年度から、研究組織を挙げて、SLEを中心としたゲノム解析の為のDNAの収集を開始した。さらに、SLEの治療を標準化する必要から、共通の作業班を組織することなどの必要性が議論された。平成19年度には個別の研究を推進するだけでなく、このような共通の課題を推進する必要があると考える。
公開日・更新日
公開日
2007-04-23
更新日
-