原発性免疫不全症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
200633012A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群に関する調査研究
課題番号
H17-難治-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宮脇 利男(国立大学法人富山医科薬科大学医学部小児科学)
研究分担者(所属機関)
  • 有賀 正(北海道大学大学院医学研究科生殖発達医学講座小児科学分野)
  • 土屋 滋(東北大学大学院医学系研究科発生・発達医学講座小児病態学分野)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学校医学研究科小児科学)
  • 上松 一永(信州大学大学院医学研究科臓器移植細胞工学医科学系専攻移植免疫感染症学)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学分野)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部生殖発達医学講座小児科学分野)
  • 原 寿郎(九州大学大学院医学研究院成長発達学)
  • 岩田 力(東京家政大学家政学部児童学科)
  • 中畑 龍俊(京都大学大学院医学研究科・発生発達医学講座発達小児科学)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発達病態小児科学分野)
  • 小林 正夫(広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻病態情報医科学講座小児科学)
  • 烏山 一(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体環境応答学系専攻免疫アレルギー学分野)
  • 千住 覚(熊本大学大学院医学薬学研究部免疫識別学分野)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学医学部保健学科医学検査学)
  • 蒲池 吉朗(名古屋大学大学院医学系研究科・健康社会医学専攻発育加齢医学講座小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 患者・家族のQOLの向上に一層寄与することを目的として、重点目標として、1) 疫学調査研究、2) 簡易診断法の開発と遺伝子解析、3) 責任遺伝子,発症機構,病態の解明、4) 治療法の改良と遺伝子治療、5) ホームページの充実と患者QOLの改善を掲げ、国際的動向を十分に視野に入れ調査・研究を推進した。
研究方法
 原発性免疫不全症候群に含まれる各種の疾患を対象に、臨床調査個人表を活用した新規登録および疫学調査、簡易診断と遺伝子解析を併用した遺伝子診断、臨床的観察や基礎的研究に基づいた病態解析、責任遺伝子の同定のための新たな手法の開発、患者のQOLの向上につながる治療法の改良、遺伝子治療の臨床的基礎的研究の推進などを分担して施行し、これらを総合的に解析・評価することにより、原発性免疫不全症候群の新たな概念、病態、診断や治療法の開発を目指した。
結果と考察
  平成18年度では、以下の結果が得られた。1)疫学調査研究:全国登録の推進に努め、新規に20例(男12例、女8例)が登録された。延べ登録数は1,287名、内訳は男性934名(72.6%)、女性353名(27.4%)となった。2)簡易診断の開発と遺伝子解析:フローサイトメトリーによる新規遺伝子XIAPを有するXLPの簡易診断法を開発し、76家系で遺伝子診断を行った。日本初のTACI遺伝子変異による低γグロブリン血症、DNA ligase IV欠損症を同定した。3)責任遺伝子、発症機構、病態の解明:比較的頻度の高い疾患の基礎的・臨床的解析を行った。本年度は、各種疾患の病態の解明に努め、毛細血管拡張性小脳失調症の全国例の集積、解析を行った。さらに、新規遺伝子として世界に先駆けて高IgE症候群の責任遺伝子Tyk2の病態解析を推し進めた。4)治療法の改良と遺伝子治療研究:重症複合免疫不全症とWiskott-Aldrich症候群に対する造血幹細胞移植の統一したレジメを作成し、安全性を高めた新たな遺伝子治療法の基礎的研究を遂行した。5)ホームページの充実と患者QOLの改善:ホームページや電話を通した患者・家族からの問合せには誠意をもって答え、患者・家族会では勉強会や医療相談に参画した。
結論
 本調査研究では、原発性免疫不全症候群に含まれる疾患の診断や治療に結びつく臨床的基礎的調査研究を、分担研究者間の連携を密に実施した。得られた成果を生かした今後の調査研究の活用や展開が求められる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-