ハンチントン病の根本的治療の実現をめざした最新RNAi誘導技術を基盤とする先端的治療法の開発と確立

文献情報

文献番号
200632071A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンチントン病の根本的治療の実現をめざした最新RNAi誘導技術を基盤とする先端的治療法の開発と確立
課題番号
H18-こころ-一般-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
北條 浩彦(国立精神・神経センター神経研究所遺伝子工学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 和田 圭司(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第4部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
37,108,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、難治性の神経変性疾患であるハンチントン病の根本的治療法の開発を目指し、次世代の先端医療技術として注目されているRNAi法を用いてハンチントン病原因遺伝子(ハンチンチン遺伝子)の発現抑制を誘導し、モデル細胞・モデル動物を用いた解析から、ハンチントン病の根本的治療の基盤となる方法論の確立を行う。
研究方法
1.RNAポリメラーゼⅡによって転写されるshRNA発現システムの構築を行った。
2.テトラサイクリンで発現誘導可能なshRNA発現ベクターの構築を行った。
3.発現プラスミドは、N2a細胞、T-Rex-293細胞に導入し、RNAiのノックダウン効果を検討した。
4.モデル動物を用いた治療効果の検討として、shRNA発現プラスミド(RNAポリメラーゼⅢプロモーター搭載)をR6/2疾患モデルマウス脳内に投与し、行動的評価と延命効果について検討した。
5.疾患感受性遺伝子候補として、UCH-L1遺伝子変異と異常型ハンチンチン遺伝子による凝集体形成、そして細胞死との関連を検討した。
結果と考察
I)最新RNAi誘導システムの構築と評価
1.RNAポリメラーゼⅡプロモーターを用いたshRNA発現システムを構築しそのノックダウン効果を検討したところ、設計したshRNAごとにRNAiのノックダウン効果が異なることが観察された。
2.テトラサイクリン誘導型shRNA発現プラスミドを用いた解析から、RNAiのコントロールの可能性が示唆された。

Ⅱ)In vivo RNAi誘導による治療効果の検討
疾患モデルマウス脳内へ、shRNA発現ベクターを導入することによって病的症状の発症遅延、そして明らかな延命効果が観察された。

Ⅲ)ハンチントン病感受性遺伝子探索と病態関連性
異常型ハンチンチン遺伝子による凝集体形成とUCH-L1遺伝子変異との関連を細胞生物学的解析によって検討したが、それらの間に有意な関連は観察されなかった。
結論
1)最新RNAi誘導技術の導入として、RNAポリメラーゼⅡによってshRNAを発現させ、ハンチンチン遺伝子の発現を抑制する新しいRNAi誘導システムを完成させた。
2)shRNA発現ベクターの脳内投与によるRNAi誘導によって、疾患モデルマウスの病的症状の発症遅延と延命効果が観察された。
3)UCH-L1遺伝子変異と異常型ハンチンチンによる凝集体形成そして細胞死との間に有意な関連性は観察されなかった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-