片頭痛に対する画期的治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200632070A
報告書区分
総括
研究課題名
片頭痛に対する画期的治療法の開発に関する研究
課題番号
H18-こころ-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 文彦(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福内 靖男(足利赤十字病院)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設)
  • 平田 幸一(獨協医科大学)
  • 辻 省次(東京大学大学院医学系研究科)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
  • 福山 秀直(京都大学高次機能総合研究センター)
  • 寺山 靖夫(岩手医科大学)
  • 岩田 誠(東京女子医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
14,158,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、片頭痛の発作治療薬及び発作予防薬を開発することである。治療薬の開発には病態の解明が不可欠であるが、近年、片頭痛の病態の解明には飛躍的な進歩が見られる。家族性片麻痺性片頭痛では三種類の遺伝子異常が確認され、いずれも脳細胞イオンチャンネルに関連し、片頭痛がチャンネロパチーとして認識されるようになった。本研究では、より一般的な片頭痛発症のメカニズムを分子病態学的に解明し治療基盤を構築する。病態に対して最も有効と考えられる治療薬を探索し開発する。
研究方法
 方法は、1)分子遺伝学的研究では片頭痛を多遺伝子脳疾患と捉え、罹患同胞対などを基盤とする連鎖解析アプローチと弧発片頭痛症例を集積した大規模関連研究を行う。2)片頭痛の家族性因子の疫学調査は、多施設共同の調査を進める。3)臨床的研究では、a)生体物質測定(炎症性サイトカイン・ケモカイン動態の解析)、b)血中ニューロトランスミッター関連分質の測定、c)脳画像解析3)テスラ高感度MRを使用し片頭痛発作期にSWIによる脳小血管の画像化・半定量化、FLAIR造影画像による血管性炎症の検出)4)動物実験モデルは、CSD、三叉神経刺激、TRPV1 受容体阻害による脳血管の拡張と炎症を検討する。研究は日本頭痛学会と共同で行う。
結果と考察
 疾患関連遺伝子を新たに固定し発症機序解明のための研究がスタートした。ゲノム解析と平行して行う層別解析に必要な臨床情報のアンケート調査票が作成された。予防薬探索の目的で、片頭痛誘発因子の研究も行われた。治療薬の開発には病態のより核心的な解明が必要であるが、片頭痛関連物質と考えられるオレキシン、Matrix Metalloproteinase-9の血中濃度測定により片頭痛との関係が示された。動物実験モデルの開発も進められた。人における治療薬の評価法開発のために、QOLにもとづいた定量的評価法や携帯電話アプリを利用した頭痛日記が試作された。初年度の成果は第2年度にひきつがれるのに充分なものと考えられる。オールジャパンの片頭痛データバンク構築と遺伝子研究が可能となる。
結論
 3年計画の初年度は、主として発作誘発因子、病態についての研究を行った。計画された研究が順調に進められた。その成果は第2年度にひきつがれるのに充分なものと考えられる。とくに分子遺伝学的研究に対し、2大学の倫理委員会から承認を得たことは、他大学での承認がより容易となり、オールジャパンの片頭痛データバンク構築と遺伝子研究が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2007-05-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)