補足運動野連続磁気刺激による大脳基底核疾患治療の開発

文献情報

文献番号
200632050A
報告書区分
総括
研究課題名
補足運動野連続磁気刺激による大脳基底核疾患治療の開発
課題番号
H17-こころ-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
辻 貞俊(産業医科大学医学部神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 宇川義一(東京大学医学部附属病院神経内科)
  • 梶 龍兒(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部神経情報医学分野)
  • 飛松省三(九州大学大学院)
  • 中島健二(鳥取大学医学部脳神経内科)
  • 中村雄作(近畿大学医学部堺病院神経内科)
  • 横地房子(都立神経病院神経内科)
  • 福留隆泰(国立病院機構長崎神経医療センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
17,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、補足運動野に対する反復磁気刺激治療が大脳基底核疾患の治療法として有効かどうかを検討することである。
研究方法
全国アンケート調査
磁気刺激治療に対する期待度などを明らかにするために全国アンケート調査を行った。平成18年度は脳神経外科医にアンケート調査を行った。

パーキンソン病での補足運動野反復磁気刺激治療効果に関する研究
補足運動野反復磁気刺激治療は17年度、18年度にパーキンソン病を対象に研究を行った。患者を補足運動野刺激とrealistic sham刺激に無作為に割付け、刺激を行っている。キーオープンによる今後の結果測定へのバイアスを考慮し、全国でキーオープンしないまま研究を継続している。従って両群合わせた全症例についての解析結果のみここに示す。
結果と考察
全国アンケート調査
回答のあった約60%の施設が磁気刺激治療に期待を持ち・約70%の施設がパーキンソン病・疼痛・ジストニアへの応用を考えていた。以上の様に、多くの医師および患者が磁気刺激治療の効果に期待している事と、パーキンソン病に対する効果に関して関心が高いことが判明した。

パーキンソン病での補足運動野反復磁気刺激治療効果に関する研究
平成18年11月末日現在、総登録症例数は68例で目標症例数96例の内、70.8%の登録が終了している。本試験によって、UPDRS、うつ症状、自覚症状いずれも統計学的に有意に改善傾向が認められた。現時点では、本刺激法によりなんらかの効果がある可能性が期待されるといえる。現在のところ因果関係が明確な副作用や、重篤な副作用はこれ以外には報告がなく、予定通り研究を継続する予定である。
結論
全国アンケート調査
 磁気刺激治療法に対する医師や患者の期待度を調査することは本研究の重要な目的である。平成17、18年に行った神経内科、脳神経外科医へのアンケート調査から、多くの医師および患者が磁気刺激治療の効果に期待している事と、パーキンソン病に対する効果に関して関心が高いことが判明した。

パーキンソン病での補足運動野反復磁気刺激治療効果に関する研究
平成17年、18年にわたりパーキンソン病を対象とした補足運動野反復磁気刺激治療研究をおこなった。パーキンソン病について多くの症例で検討を行うことにより研究の質が高まると期待できる。現時点では、プラセボでない何らかの治療効果が出現すると期待している。またDBS適応外であった高齢者や重症合併症患者にも、侵襲が少ない反復磁気刺激治療を活用し提供することが可能となり、症状の改善が得られる事も期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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