終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症、及び、他の細胞外マトリックス分子欠損症におけるタンパク標的療法の開発研究

文献情報

文献番号
200632044A
報告書区分
総括
研究課題名
終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症、及び、他の細胞外マトリックス分子欠損症におけるタンパク標的療法の開発研究
課題番号
H17-こころ-一般-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大野 欽司(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性筋無力症候群は、神経筋接合部の先天的分子欠損症が原因であり、我々は、欠損分子に応じた治療法を開発・臨床応用してきた。しかし、collagen Q分子欠損による終板アセチルコリンエステラーゼ(AChE)欠損症は治療法が存在しない。Collagen Q(COLQ遺伝子産物) 3分子は3重鎖を形成し、AChE catalytic subunit(ACHE遺伝子産物)12分子と結合し、非対称性A12-AChEを形成する。本研究では、(i) A12-AChEが細胞外構造タンパクであること、(ii) collagen Q自体がシナプス基底膜への特異的係留シグナルを有すること、(iii) A12-AChE がCOS細胞やHEK293細胞において細胞外分泌されることを利用し、COLQ遺伝子欠損モデル動物のリンパ球に正常COLQ遺伝子と正常ACHE遺伝子を導入し、A12-AChEを血中に発現させ、血流を介したシナプス基底膜への係留を試みる。
研究方法
ColQ欠損マウスは共同研究者Eric Krejciより貸与を受けた。pSIREN-RetroQベクターにEF1αプロモーター、ヒトACHE遺伝子, IRES, ヒトCOLQ遺伝子を導入しウィルス粒子を得る。正常マウスから脾臓、リンパ節を摘出し、Tリンパ球の単離を行ない、上記組み換えレトロウィルスを感染させ、形質転換Tリンパ球をColQ欠損マウスに戻し、組み替えA12-AChEの神経筋接合部への係留を確認する。
結果と考察
ColQ欠損マウスのロタ・ロッド運動試験とショ糖密度勾配遠心によるAChE分画を行い治療効果判定手法を確立した。pSIREN-EF1α-ACHE-IRES-COLQをPLAT-E細胞にトランスフェクションをし、1.6 x 107 PFU/mlのレトロウィルスを得た。このPLAT-E細胞からの抽出タンパクを、ショ糖濃度勾配遠心法で分画しA12-AChEが作られることを確認した。正常マウスから脾臓、リンパ節を摘出し、血球をCD3及びCD28抗体存在下で培養してTリンパ球の単離を行なった。上記組み換えレトロウィルスを感染させ、形質転換Tリンパ球から組み替えA12-AChEが合成され細胞外に移行することを今後確認する。
結論
現在のプロジェクトを進めることにより細胞外分子欠損症に対する汎用のタンパク標的治療法の開発を今後めざす。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
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