司法精神医学の人材育成等に関する研究

文献情報

文献番号
200632032A
報告書区分
総括
研究課題名
司法精神医学の人材育成等に関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
林 拓二(京都大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 徹男(秋田大学医学部精神科学分野)
  • 三國 雅彦(群馬大学大学院医学系研究科脳神経精神行動学)
  • 中谷 陽二(筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 倉知 正佳(富山大学大学院医学薬学研究部神経精神医学講座)
  • 佐野 輝(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科精神神経医学)
  • 宮岡 等(北里大学医学部精神科)
  • 岡崎 祐士(東京都立松沢病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療観察法が施行され、司法精神医学への関心と期待はますます大きくなっているが、この領域に関わる人材は質量ともに不足し、精神鑑定などの重要な業務も一部のメンバーに集中せざるを得なくなっている。これが、わが国の司法精神医学・医療の大きな問題であり、この領域に興味を持つ若手精神科医をいかに育成するかが、緊急の課題となっている。
研究方法
本研究は、全国7大学、1施設での共同研究である。メンバーは、ほとんどが講座担当者会議の構成員で、司法精神医学の人材育成に中心的にかかわっている。われわれは、
1)卒前・卒後教育を含む司法精神医学の教育と啓発
2)司法関係者との地域ネットワークの構築
3)各地で司法精神医学に関わる研究会を立ち上げること
4)司法精神医療の現状改善への方策と目標設定への提言
5)法的能力の精神医学的評価法の開発
という5つの目標を定め、司法精神医学従事者の量的拡大と質的向上を目指している。

結果と考察
秋田大学の医学部学生へのアンケート調査は、卒前教育の重要性を示している。筑波大学では、医療観察法の下で重要な役割を持っている精神保健判定医や弁護士への意識調査を行っている。松沢病院では、米国の専門医研修制度と比較し、日本における卒後教育の最適なシステムの構築を検討しており、今後、われわれの班としてまとまった提案をしたいと思う。京都大学では司法精神医学のハンドブックとして数点の翻訳を進めている。
各地区では、われわれの班メンバーによって司法精神医学の研究会が開催され、大学、県行政機関、県立や民間病院の精神科医、さらに司法関係者の出席を求めて、司法と精神科医との交流が活発になっている。これらの会は、若手精神科医が司法精神医学に興味を持ち、知識を深める極めて重要な機会となっている。さらに、富山大学や京都大学では、司法鑑定などの補助診断として脳画像が利用可能かどうかを検討し、様々な神経心理テストの利用を試みている。サイコパスの研究などは、司法精神医学がなお新しい展開を必要とする領域であることを示し、多くの若手大学院生がこの領域の研究を希望するようになっている。

結論
これらの研究によって得られた成果は、精神科講座担当者会議や精神神経学会、さらに司法精神医学会などと連携しながら、司法精神医学の人材育成のシステムを構築するために役立つであろう。

公開日・更新日

公開日
2007-04-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)