心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200632031A
報告書区分
総括
研究課題名
心神喪失者等医療観察法制度における専門的医療の向上のためのモニタリングに関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 和男(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 幸之(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部 )
  • 八木 深(東尾張病院)
  • 松原 三郎(松原病院)
  • 山上 皓(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
  • 町野 朔(上智大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、精神保健研究所司法精神医学研究部を中心に、医療観察制度に関わる種々の機関からの情報を統合的に収集管理し、専門的な見地からの評価と分析を加え、その結果を関係機関に定期的にフィードバックすることによって、専門的医療の向上を図ると同時に、5年後の制度改正の必要性を根拠づけるための客観的なデータを集積、提供することを目的とするものである。
研究方法
データは毎月診療報酬明細書にその写しが添付されることになる、「入院処遇ガイドライン」記録等の標準化による関係するシート、及び「通院処遇ガイドライン」記録等の標準化による「指定通院医療機関における多職種チーム会議において整備すべき情報」のうち氏名等の個人が特定されるものを除いた情報について、開発したデータベース・システムを用いて収集する。これらのデータは司法精神医学研究部で分析され、精神医学、法学等の専門家よって構成される外部評価班での評価を経た上で、制度上の問題点や具体的な改善計画が示され、関係機関や関係省庁に定期的に報告されることになる。
結果と考察
入院処遇では、本年度は、指定入院医療機関6カ所より、入院処遇を継続している者141名、退院した者11名について解析を行った。その結果、各種申立てにかかる司法制度に遵守した運用状況や、各入院医療機関のキャッチメントエリアと対象者の居住地との整合性といった施設整備の進捗等が示された。通院処遇では、データとなる多職種チーム会議シート等の作成・保存状況が施設によって異なっていたため、解析にはかなりの困難を要した。今年度は、指定通院医療機関15か所より、通院処遇を継続している者25名、シート数延べ406枚についてテキストデータを主に質的分析を行った。その結果、医療観察法における従来よりも濃厚な通院医療の実施により、危機的な状況を早期発見し適切な介入が可能となっていること、多職種が積極的にケアに参入することにより、問題点の把握がしやすくなり多角的なケアの実施が可能となっていることが明らかとなった。
結論
データベース・システムを用いて、全国の指定入院医療機関および指定通院医療機関から指定医療機関の整備状況、医療観察法対象者の基礎情報、指定医療機関における治療期間や治療内容、退院に際しての住居の確保、社会復帰における連携状況等に関する情報を収集、解析することによって、同法の専門的治療の現状と問題点が明らかにされた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
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