保健サービスの効率性及びサービス量の決定要因に関する研究

文献情報

文献番号
199700235A
報告書区分
総括
研究課題名
保健サービスの効率性及びサービス量の決定要因に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 健文(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 保健医療福祉地域総合調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
9,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
市区町村における保健事業の実施状況およびその実施のために投入されている費用等を把握することによって、 保健サービスの効率性及びサービス量の決定要因を探索することを目的とした。
研究方法
全国の市町村及び東京都特別区合計3255に郵送法により調査票を配布した。調査項目は、1.保健事業の費用 2.保健事業の実施状況 3.保健婦活動 4.ボランティア活動 5.保健事業の市町村委譲と保健所との連携 6.人口・経済 7.保健医療福祉施設である。
結果と考察
1059市区町村より回答を得た(回答率33%)。 回答率は都道府県で差がみられるが地域的偏りはない。特別区と町村の回答率が市より低い。
1. 保健事業のマンパワー
保健婦はほとんどの市区町村で、事務職員は77.3%、栄養士は38.5%の市区町村で雇用されている。他の職種は9割以上の市町村で雇用されていない。
2. 保健事業の費用
事業費と人件費から保健事業の推定費用を算出した。人口1人当たり事業費は10,020円で人口規模の大きい市町村の方が低い傾向がある。しかし中核市、政令市及び特別区は高くなっている。その配分割合は母子保健6.3%、老人保健46.0%、その他47.7%である。
人口1人当たりの人件費は2,074円で、事業費と同様人口規模の大きい市町村で低い傾向がみられた。同様に中核市、政令市及び特別区では高い。その配分割合は母子保健28.6%、老人保健48.2%及びその他23.2%であった。
母子保健の対象人口1人当たり推定費用は22,036円であり、老人保健では6,717円である。保健事業の費用は利用者数等の事業実施量に比例する変動費用と固定費用に分類される。人口規模が大きい市町村で人口当たりの費用が小さくなる傾向は、保健事業の最適規模を考慮する際の資料となるものであり、今後更に分析を進める必要がある。
保健事業の費用に影響を与える要因についても分析を進めているが、対象人口1人当たりの推定費用について母子保健事業と老人保健事業との間に強い相関が見られている。また市町村保健センターを設置している市町村の方が対象人口1人当たりの母子保健及び老人保健事業の推定費用が低い。
3. 保健婦活動
人口1万人当りの保健婦数は3.4人であり、老人福祉専従の保健婦が配置されている割合は市34.3%、町10.4%、村12.4%である。母子保健対象者及び老人福祉対象者1万人当たりの保健婦数は21.9人及び71.6人であり、人口規模が小さいほど保健婦数は多くなっている。保健婦の活動時間は老人保健及び福祉が半分以上を占め、母子保健が3割弱、その他2割弱である。
結論
全国の市区町村の保健サービスの事業費及びマンパワー投入量が明らかにされ、その中間産物として事業量が把握された。この成果は保健サービスの最適資源配分のための重要な資料となると考える。

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