発達障害(広汎性発達障害、ADHD、LD等)に係わる実態把握と効果的な発達支援手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200632027A
報告書区分
総括
研究課題名
発達障害(広汎性発達障害、ADHD、LD等)に係わる実態把握と効果的な発達支援手法の開発に関する研究
課題番号
H17-こころ-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
市川 宏伸(東京都立梅ヶ丘病院)
研究分担者(所属機関)
  • 安達 潤(北海道教育大学旭川校)
  • 内山 登紀夫(大妻女子大学)
  • 緒方 明子(明治学院大学)
  • 小川 浩(大妻女子大学)
  • 高橋 脩(豊田市子ども発達センター)
  • 田中 康雄(北海道大学)
  • 辻井 正次(中京大学)
  • 日詰 正文(長野県精神保健福祉センター)
  • 藤岡 宏(つばさ発達クリニック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 発達障害者支援法の趣旨に基づき、発達障害の実態把握と発達支援の開発に関係する臨床研究を行う。法の改正に際して行政的に有用な研究を目指す。
研究方法
 法に関与する、医療、保健、福祉、心理、教育、労働などの専門家による現状の把握および適切な方向性の検討を行うため、質問紙法あるいは直接面接によるアンケート調査を行っている。医療関係者4人で早期発見、療育、治療に関して研究を行った。教育、福祉、心理、労働関係者6人により、支援の現状について検討を行った。
結果と考察
 保育園では法の対象となる児童が4.5%であり、医療機関への紹介について戸惑いがあった(豊田市)。ADHDは幼児期後半・学童期に見つかっており、保護者は知らせることを望んでいた(豊田市)。発達障害者の支援には様々な資源の活用が必要であった(倉吉市)。出生者者に対する広汎性発達障害者の比率は、1.1?1.3%であった(今治市)。療育機関への通所は保護者の気持ちの理解に有用であった(今治市)。自閉症スペクトラムの早期スクリーニングのためにM-CHATの臨床的応用について検討を加えた。発達障害者に係わる医療機関の診療は不十分であり、特に知的障害を伴う発達障害者の身体的・精神的悪化への医療機関は少なかった(全国)。高等養護学校の生徒の対応には知的障害と発達障害を両方の視点から分析する必要があった(北海道)。中学校の通常級に在籍する生徒の約5.3%に支援が必要だが、その80%は特別な支援を受けられていなかった(都心部)。発達障害児を持つ保護者は3才ごろに気づき、障害への肯定的な気持ちを支援する必要があった(北海道)。健診事業では発達課題への視点が乏しかった(北海道)。療育・教育機関への評価は高かったが、通常級での対応は不十分であった(北海道)。就労については障害者・企業野双方向的理解が必要であった(北海道)。知的障害のない広汎性発達障害では、約40%が就労しており、正社員はその30%で身分的に不安定であった(首都圏)。手帳を持たない広汎性発達障害者の支援展開では、支援関係者間の調整やスーパーバイズが不十分であった(全国)。
結論
 発達障害者支援法の対象者への支援は、一部は先進的に行われているものの、まだ不十分な点が多く、支援方法の検討が必要であった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-18
更新日
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