ゲノム医学を活用した統合失調症及び気分障害に対する個別化治療法の開発

文献情報

文献番号
200632025A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム医学を活用した統合失調症及び気分障害に対する個別化治療法の開発
課題番号
H17-こころ-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
染矢 俊幸(新潟大学医歯学系精神医学)
研究分担者(所属機関)
  • 兼子 直(弘前大学医学部神経精神医学)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・精神生物学分野)
  • 山田 光彦(国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
24,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神科薬物療法は統合失調症、気分障害などの精神疾患の治療において重要な役割を担っているが、薬物の反応性には個人間に大きな差が存在し、各個人に適した薬剤選択・用量設定の目安となるような客観的指標はいまだ開発されていない。本研究では、統合失調症及び気分障害の患者を対象として、薬物の反応性・副作用に関連した遺伝子多型を同定し、精神科医療における個別化治療の確立と画期的治療薬の開発を目的とした。
研究方法
本研究は新潟大学、弘前大学、名古屋大学、国立精神・神経センターの4施設が以下の3分野について共同でサンプル収集、データ解析を行った。
抗精神病薬の反応性と副作用に関する分子薬理遺伝学的研究
抗うつ薬の反応性と副作用に関する分子薬理遺伝学的研究
抗うつ薬奏効機転関連分子の遺伝子多型の探索
本研究は文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示第1号の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を遵守した研究計画書を作成し、すでに各研究施設に設置されている遺伝子倫理委員会において承認を受けた上で研究を行っており、試料提供者への文書によるインフォームド・コンセント、個人情報の厳重な管理(匿名化)を徹底した。
結果と考察
平成18年度は以下の結果が得られた。
(1)未治療の統合失調症患者164名を対象とした新規抗精神病薬の臨床効果に関する検討で、risperidone、olanzapineの臨床効果とDRD2 TaqⅠ多型のA1アレルとの間に関連が見出され、risperidoneの臨床効果とAKT1-SNP5遺伝子が関連することが示された。
(2)うつ病患者103名を対象としたFluvoxamine(FLV)の臨床効果に関する検討で、FLVの至適血中濃度の存在が見出された。
(3)うつ病患者85名を対象としたFLVの代謝に関する検討で、FLV血中濃度には、FLV低用量時はCYP2D6、高用量時はMDR1 C3435T多型の影響が大きいことが示された。
結論
平成18年度は抗精神病薬190、抗うつ薬200サンプルが新たに追加され、目標サンプル数はほぼ達成された。多施設研究で共通の臨床パラメーターをもったサンプル収集が順調にすすんでおり、抗精神病薬、抗うつ薬いずれに関しても有用な知見が得られつつある。平成19年度は研究最終年度であり、さらに大規模なサンプル収集を行い、これまで得られたデータをもとに包括的な解析を行う。

公開日・更新日

公開日
2007-04-24
更新日
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