リポソームをバイオリガンドとしたRA血清早期診断法

文献情報

文献番号
200631032A
報告書区分
総括
研究課題名
リポソームをバイオリガンドとしたRA血清早期診断法
課題番号
H18-免疫-若手-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
苗代 康可(札幌医科大学医学部分子機能解析部門)
研究分担者(所属機関)
  • 相馬 仁(札幌医科大学医学部分子機能解析部門)
  • 小海 康夫(札幌医科大学医学部分子機能解析部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国のRA患者は約60万人いると言われ、新規発症患者数は、年々増加する傾向にある。近年、抗TNF-α抗体が治療にもちいられるようになり、難治性のRAにおいても症状の緩和が可能となったが、治療奏功率は70%程度であり治療に要する費用も高額である。効果の予測ができれば費用対効果をあげることができると考えられる。本研究ではRAの早期診断を目標とし、治療効果予測、治療効果判定を正確に行うシステムの構築を目的とし、新規の疾患特異的マーカーの同定および本システムの診断系への導入を目標とした。
研究方法
1) 健常人ボランティアおよび札幌医科大学通院中の関節リウマチ患者を対象にインフォームドコンセントを得たうえで治療前、治療経過中の血漿を収集する。
2) 人工脂質二重層膜を利用した脂質結合たんぱく質の濃縮分離を行う前処理の検討
3) Ciphergen社のProteinchip systemにて前処理後の血漿を質量分析解析する。
4) GeLCMS法によるたんぱく質の同定:前処理後の血漿タンパク質をSDS PAGEにより分離し、in gel digestion後、質量分析器により同定する。
5) 健常人群から得られるタンパク質の分子量と発現強度データを統計処理し、正常範囲を決める。
結果と考察
1)健常人ボランティア血漿を73人分収集保存し解析した。さらに30人分のインフリキシマブ投与前後の血漿を収集した。
2)前処理法として人工脂質二重層膜を利用した脂質結合たんぱく質の濃縮分離が一番簡便であり、多くのたんぱく質peakを検出することから本研究に最適と考えられた。
3)正常人血漿73人分から人工脂質二重層膜(リポソーム)に結合した脂質結合たんぱく質(LBP: Liposome Binding Protein)をPhカラムを装填したHPLCにより8分画に分け、Ciphergen社のProteinchip systemにて解析した。ProteinchipはAu chipが簡便で多くのpeakを検出した。
4)正常人血漿から集めたLBPをSDS PAGEにて分離し、in gel digestionによりtrypsin分解、抽出し質量分析器により同定した。
結論
本研究ではRAの早期診断を目標とするとともに、治療効果予測、治療効果判定を正確に行うシステムの構築のために質量分析器による解析を主軸におき、新規バイオリガンドを用いることで新しいバイオマーカーの同定を目指した。対象とする検体は必要数収集できる目処が立ち、血漿の保存から前処理、解析までの効率的な方法を確立した。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-12-17
更新日
-