食物アレルギーの発症・重症化予防に関する研究

文献情報

文献番号
200631031A
報告書区分
総括
研究課題名
食物アレルギーの発症・重症化予防に関する研究
課題番号
H18-免疫-若手-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
今井 孝成(独立行政法人国立病院機構相模原病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 板橋 家頭夫(昭和大学医学部小児科)
  • 玉利 真由美(理化学研究所遺伝子多型研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,425,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、4つの分担研究班より構成され、食物アレルギー(以下FA)の疾患概念や治療論の確立を支援し、患者のQOLを高め、保健医療や厚生行政に情報提供する事で、多角的にFAの発症および重症化の予防に寄与する事を目的とする。
研究方法
①即時型FAの全国モニタリング調査は、アレルギー専門医の全国ネットワークを利用し行なう。今年度はアナフィラキシー(以下An)とエピネフリン(以下EP)投与に関する調査を行なった。
②FA患者の栄養指導方法に関する研究は、調査対照を含め532名に、食生活や生活背景、栄養指導に関する調査を行った。
③新生児ミルクアレルギー(以下NMA)に関する検討は、主要新生児取扱い263施設に、同疾患に関する調査をわが国で初めて行なった。
④FAの遺伝子多型の検討では、139名のFA患者血清からDNAを抽出し、その遺伝子多型を分析した。
結果と考察
①アレルギー専門医でもEP自己注射薬の処方登録医の割合は62.7%に過ぎず、さらに登録医でも処方経験のない者が52.7%であった。また医師のEPの処方・投与に関する意識調査では、自己注射薬が本来の処方適応症例に十分に処方されない傾向、およびAnでEP投与適応の状況下でも投与されない傾向が指摘された。いまだAnショックのリスク患者に対する自己注射薬の処方体制は不十分であり、今後AnおよびEPに関する啓発を強く推進する必要性が示された。
②FA児の食生活上の問題点(献立作成、栄養問題、原材料表示等)および必要とする栄養指導項目の年齢群別特徴が判明した。最終年度のFA栄養指導マニュアル作成に向け、重点的に扱うべき指導項目を決める事が出来た。
③NMAの診療の現状が初めて明らかとなった。発症率は0.21%(145/69,796例)で、出生体重別には超低出生体重児にNMAの発症頻度が高かった。また施設間の診断方法や根拠に差異が大きく、統一した診断治療指針の提言が必要である事が示された。
④RIG-I、IFN-βに関して各々に25個、11個の遺伝子多型が同定された。今後これらを用いてFA児の背景要因、臨床病型、原因食物などの病態解析を行い、FAリスクの判定方法の開発を目指す。
結論
各分担研究の結果は、各々の側面からFAの発症および重症化の予防に寄与するものであった。来年度以降は本年度の研究を更に発展充実させ、本研究班の目的を達成する。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-12-17
更新日
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