関節リウマチに対する長期耐用下肢人工関節の開発とクリティカルパスの標準化

文献情報

文献番号
200631030A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチに対する長期耐用下肢人工関節の開発とクリティカルパスの標準化
課題番号
H18-免疫-一般-007
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中村 孝志(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 川那辺圭一(京都大学 大学院医学研究科)
  • 伊藤 宣(京都大学 大学院医学研究科)
  • 三浦 裕正(九州大学病院 リハビリテーション部)
  • 大塚 博巳(愛知医科大学 大学院医学研究科)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
  • 松下 富春(中部大学 生命健康科学部)
  • 安達 泰治(京都大学 大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では下肢の人工関節に関する諸問題を明らかにその解決を目指す。課題は3つにわけ、1つは人工股関節、膝関節及び足関節の問題を明らかにし其の解決を目指す。2つめは人工股関節と膝関節のクリティカルパスの標準化を進める。3つめは下肢人工関節の全国的な登録制度を開発する事である。
研究方法
1.下肢人工関節の開発
a)股関節
ジルコニアに関する文献上のメタアナリシスとジルコニアを使用した人工股関節の摩耗計測と摘出した骨頭分析を行う。
b)膝関節
1. アルミ対アルミナの人工膝関節の可能性を検討する。
2. レントゲンのマッチング法や、関節シミュレーターによる解析を行う。
c)足関節
現在我が国で使用されている人工関節をFEMを用いて解析する。
d)人工関節の骨への固定法の改善
骨結合性を与えるアルカリ加熱処理の方法をCo-Cr合金、ジルコニア金属に応用する方法を開発する。
2.クリティカルパスの標準化
整形外科研修指定病院にアンケートを行い現在使用中のクリティカルパスの現況を調べる。
3.人工関節のナショナルレジストリー体制構築への試み
膝関節と股関節のレジストリーの方法と登録シートを作成し、選択した施設での試験的な使用を試みシステムの有効性を調べる。
結果と考察
1.
a)ジルコニアを用いた人工股関節に関して文献収集を進めた。一方ジルコニアとアルミナ骨頭を用いた人工関節のポリエチレンの線摩耗をレントゲン計測で比較し、ジルコニアの摩耗が2倍多いことが明らかになった。
b)動態解析では屈曲に伴って接触部位が限局し、ポリエチレンに耐用性を上回る加重が加わることがわかった。
c)3次元CADモデルを用いて人工足関節のFEMモデルを作成した。
d) 骨結合性を得る方法の基礎的データを計算により求めたところ、最大のせん断力は3MPaであったが、体重100kgfの場合には約5MPaが必要と予測される。
2.質問票を作成し、2007年1月2158施設に発送、3月現在計568施設(26.3%)から返信を得ている。現在、回収し得た質問票からデータの解析を行っている。
3.2006年2月から登録を開始、2006年11月29日時点までで10施設に参加登録を要請、実施し、その登録過程で解決すべき問題点が明らかになった。
結論
下肢人工関節の新規開発、クリニカルパスの標準化、全国レベルでの登録システムの展開を目指している。本年度は初年度であり、研究の準備が行われた。そのうち人工膝関節に関しては厳しい力学的環境にあることが判明し、次世代人工膝関節デザインで考慮する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
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