スギ花粉症およびダニアレルギーに対する新しい免疫療法の開発

文献情報

文献番号
200631029A
報告書区分
総括
研究課題名
スギ花粉症およびダニアレルギーに対する新しい免疫療法の開発
課題番号
H18-免疫-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
阪口 雅弘(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 高井 敏朗(順天堂大学大学院医学研究科)
  • 小埜 和久(広島大学大学院先端物質科学研究科)
  • 辻本 元(東京大学大学院農学生命科学研究科)
  • 斎藤 三郎(東京慈恵会医科大学)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院医学研究院)
  • 大久保 公裕(日本医科大学)
  • 中山 俊憲(千葉大学大学院医学研究院)
  • 安枝 浩(独)国立病院機構相模原病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
56,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の国民の10%以上がスギ花粉症であると推定されている。一方,小児気管支喘息の原因アレルゲンの80%以上はダニであると考えられている。本研究は、新しい免疫療法を開発することを目的する。すなわち、CpG、DNA、乳酸菌・麹菌、組換体ワクチンの4つのワクチン開発を行い、その有効性と安全性を検討する。また、ヒノキアレルゲンの必要性についても検討する。さらに、舌下減感作療法の治療に用いた臨床研究を行い、その有効性とメカニズムの解析も行う。
研究方法
CpGワクチンのCpGに対する安全性の検討するため、CpGをマウスに毎日20日間ip投与してその安全性を検討した。ダニアレルゲン遺伝子を組み込んだDNAワクチンをマウスおよびビーグル犬に投与し、抗体およびサイトカイン産生を測定した。乳酸菌にてLDH遺伝子プロモーターを有する乳酸菌-大腸菌シャトルベクターにCry j1を融合させた。ダニアレルゲンのプロテアーゼ活性に変異を導入し活性を消失させた組換変異体を作製しマウスに免疫した。スギ花粉症患者のPBMCを用いて、花粉アレルゲンに対する増殖能を調べた。スギ花粉症患者に対して減感作抗原を舌下投与した二重盲検比較試験を行なった。マイクロアレイ解析のため、PBMCからのRNA抽出を行なった。
結果と考察
CpGワクチンのCpGの安全性が高いことが判った。ダニアレルゲンを発現するDNAワクチンはマウスおよびイヌにおいてTh1型の免疫応答が誘導された。Cry j 1を発現する組換え乳酸菌の開発に成功した。プロテアーゼ活性を除去したDer f 1変異組換体は免疫寛容を誘導し、減感作抗原として有望であると考えられた。これらのワクチンにおけるこれらの結果は人への臨床応用への貴重なデーターとなった。アレルゲンに対するPBMCの反応性から、各アレルゲン特異的T細胞の存在が示唆された。予備実験において末梢血からのマイクロアレイ解析が可能であることが判り、舌下減感作療法の治療メカニズムおよび治療バイオマーカーの検討が可能であることが判った。
結論
CpGワクチンのCpGの安全性が高いことが判った。ダニアレルゲンDNAワクチンはイヌの臨床例に適用可能であるものと考えられた。Cry j 1を発現する組換え乳酸菌の開発に成功した。プロテアーゼ活性のない変異体を減感作抗原として使用できる可能性が示された。スギ花粉症患者において、各アレルゲンT細胞クローンの存在が示唆された。50mlの患者血液でマイクロアレイ解析に必要な十分なRNA量を確保できることが確認でき、マイクロアレイ解析が実行できることが判った。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
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