成人喘息の寛解を目指した治療薬の減量・中止に関する研究

文献情報

文献番号
200631028A
報告書区分
総括
研究課題名
成人喘息の寛解を目指した治療薬の減量・中止に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小林 信之(国立国際医療センター呼吸器科)
研究分担者(所属機関)
  • 工藤 宏一郎(国立国際医療センター国際疾病センター)
  • 大田 健(帝京大学内科)
  • 永田 真(埼玉医科大学呼吸器内科)
  • 上村 光弘(国立病院機構災害医療センター呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
吸入ステロイド薬の使用により喘息のコントロールは格段に改善されているが、患者が吸入ステロイド療法を中止できるか否かを決める指針はない。本研究の目的は、適切な薬物治療により喘息のコントロールが良好となっている患者において、治療薬剤を減量あるいは中止してよい基準を明らかにすること、そして、無治療・無症状の状態である「寛解」を規定(予測)する因子を明らかにすることである。
研究方法
本研究は多施設共同臨床研究である。対象は適切な治療によりトータルコントロールの得られている持続型の成人喘息患者であり、今回作成した「治療薬減量・中止プロトコール」に則り治療のステップダウンを行い、その後の経過を観察して喘息コントロールの達成維持を可能とする因子、さらに治療中止1年後の寛解を規定する因子を求める。喘息の良好なコントロールを得るためには気道炎症の制御が重要と考えられるが、共同研究を補強するための個別研究として、誘発喀痰や気道凝縮液中の炎症性マーカーについての基礎的な検討を行う。また、早期集中介入の5年後の予後調査、難治性咳喘息に対して寛解を目指したステロイドネブライザー療法を行う。
結果と考察
1)本年度は共同研究プロトコールを作成し、ピークフロー測定や気道過敏性検査などの検査・評価方法を統一した。研究計画は各施設の倫理委員会の承認を受け、選択基準を満たす患者の同意を得て研究を開始した。2)早期集中介入の1年後に寛解の得られていた患者の約70%は、5年後にも寛解が維持されていた。3)喘息患者における誘発喀痰中のマーカーとしては、好酸球の他に好中球、TNFαが重症喘息で増加しており、呼気凝縮液中のマーカーとしてはVEGF、GM-CSF、Eotaxinと喘息重症度との関連性が示唆され、これらのマーカーの測定はステップダウン時の指標となりうると思われた。4)難治性咳喘息に対するステロイドネブライザー療法の有用性が示された。喘息患者にとって不必要な薬剤は中止すべきであり、適切な減量・中止基準を見出すことができれば、患者のQOL改善や副作用防止に寄与するだけでなく、医療経済学的にも有用な情報を与えると考えられる。
結論
多施設共同で実施する研究プロトコールを作成し、各施設で倫理委員会の承認を受け、患者登録をはじめ研究を開始した。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-12-17
更新日
-