関節リウマチの重症化防止のための臨床的早期診断法と早期重症化診断法に関する研究

文献情報

文献番号
200631027A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの重症化防止のための臨床的早期診断法と早期重症化診断法に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
村澤 章(新潟県立リウマチセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学東医療センター)
  • 松田 剛正(鹿児島赤十字病院リウマチ・膠原病センター)
  • 衛藤 義人(国立病院機構名古屋医療センター)
  • 宮原 寿明(国立病院機構九州医療センター)
  • 高木 理彰(山形大学医学部整形外科学教室)
  • 羽生 忠正(長岡赤十字病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)の重症化を防止するためには、できるだけ早期に確定診断し、適切な薬物療法を導入し、かつ症状が進行する前に炎症を鎮静化しなければならない。そのため誰でも、どこでも正確かつ簡単に使用できるよう従来の早期診断基準を再検討する。さらに早期重症化診断法を確立し、強力な薬物療法の選択的使用を可能にして重症化の防止を目的とする。
研究方法
RA発症から2年以内に初診、5から10年以上経過を観察できた症例を集積し、①従来のRA早期診断基準 (3種類の診断基準;ACR, 旧厚生省、リウマチ学会)は早期診断に不適か, ②重症化(骨破壊、内科合併症、薬物抵抗)の初期におけるマーカーを検索し、臨床的早期診断法と早期重症化診断法の指針作成の目的で予備調査を行った。
結果と考察
羽生らの足趾MTP関節を加えた改良CT法は従来の臨床症状を重視したものであるが、安価で、容易に行え、早期RAでも感度、特異度とも十分臨床の場に耐えられる結果が再現された。なお,RF因子陰性のRAに関しては,今回の調査でも20%認められ、抗CCP抗体を今回の改良CT法に組み込む方法が検討されている。
重症化の定義は必ずしも明確でないが、重症化は身障(関節破壊)、重度(内科合併症)、難治性(高度炎症)にわけられ、各々の重症化予測因子を探ることによって、早期重症化診断法を作成し、早期重症化防止を図ることが可能である。全身の骨破壊の進行パターンは小関節で代表されるものでなく、少なくとも非荷重関節の手関節、肘関節では発症1~2年後にいわゆる関節破壊が完成する window of opportunity はなく5~6年にわたりlinear に進行するパターンが認められた。内科的合併症のうち、死亡例に関して見ると、呼吸器合併症例が70.2% ( 33例)と圧倒的に多く、更にそのうち呼吸器感染症による者は25例を占め、関節リウマチにおける呼吸器合併症特に呼吸器感染症への対応の重要性が改めて認識された。
結論
足趾MTP関節を加えた早期RA診断改良CT法は従来の臨床症状を重視したものであるが、安価で、容易に行え、早期RAでも感度、特異度とも十分臨床の場に耐えられる結果が再現された。
全身の骨破壊の重症化パターンは非荷重関節、荷重関節、MTX使用下、生物学的使用下などで異なっていることが判明した。また内科合併症の中で呼吸器合併症は死亡率が高く、特に呼吸器感染症の関与が重大であった。 

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-