アトピー性皮膚炎の発症および悪化因子の同定と発症予防・症状悪化防止のための生活環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
200631026A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎の発症および悪化因子の同定と発症予防・症状悪化防止のための生活環境整備に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
河野 陽一(国立大学法人千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 佐伯 秀久(東京大学大学院医学系研究科皮膚科)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学)
  • 片山 一朗(大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学皮膚科学)
  • 望月 博之(群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学)
  • 小田嶋 博(独立行政法人国立病院機構福岡病院統括診療部)
  • 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
  • 片岡 葉子(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1. ADの小児・成人での疫学調査
2.コホート調査に基づく乳児AD自然歴とAD発症・悪化関連因子の同定
3. 既知の発症・悪化因子に対する対策による発症予防・症状改善の評価
研究方法
1.
(1)「ADの診断のための質問票」による全国8地域において小児AD有症率を調査し、年次推移を検討する。
(2)一般成人集団における本質問票の感度・特異度を複数の地域で明らかにする。
2.
(1)生後4か月からの乳幼児健診での医師の診断によるADの個別追跡調査(コホート調査)により乳児期ADの自然歴を調査する。皮膚黄色ブドウ球菌のコロナイゼーションと乳幼児ADとの関連、また皮膚バリア機能とADとの関連を調査する。
(2)母乳中のサイトカイン、食物抗原、脂肪酸濃度を測定する系を確立する。母乳中の成分と乳児ADの関連についてコホート乳児集団を設定して検討する。
3.
(1)経表皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚透過性の小児での有用性を検討する。
(2)AD発症ハイリスク群の児に対するスキンケアによる乳児AD発症予防の効果を検討する。
結果と考察
1)「ADの診断のための質問票」は成人のADの診断においても高い感度と特異度を有していた。
2)乳児コホートでの追跡調査から、4か月のADと1歳6ヵ月でADは異なる集団により構成されている可能性が示唆された。
3)生後4か月までの母乳栄養が1歳6ヵ月のアトピー性皮膚炎と関連することが示唆された。
4)4か月の時点での黄色ブドウ球菌定着の有無が1歳6か月までのADに関与することが明らかになった。
5)AD発症に関連する母乳中の成分測定のために母乳中サイトカイン、アレルゲン、脂肪酸の定量システムを構築した。
6)シャワー浴のADに対する効果の客観的な指標の一つとしてタートラジンを用いた皮膚浸透性の評価系を確立した。
7)乳幼児期の皮膚バリア機能の評価法としてのTEWLと黄色ブドウ球菌測定の意義を明らかにした。
結論
1)成人ADの診断のための質問票の感度・特異度をほぼ確定した。
2)乳幼児ADの自然歴から乳児期早期と離乳以後のAD発症機序が異なる可能性が示された。
3)皮膚バリア機能異常と乳児ADの関連が示唆された。
4)母乳栄養がAD発症関連因子であることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-