アレルギー性疾患の発症・進展・重症化の予防に関する研究

文献情報

文献番号
200631025A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー性疾患の発症・進展・重症化の予防に関する研究
課題番号
H18-免疫-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院小児科)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院医学系研究科)
  • 伊藤 節子(同志社女子大学生活科学部)
  • 荒川 浩一(群馬大学大学院医学系研究科)
  • 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院)
  • 大嶋 勇成(福井大学医学部)
  • 安枝 浩(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 玉利 真由美(理化学研究所遺伝子多型研究センター)
  • 田知本 寛(国立病院機構相模原病院小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国でのアレルギー性疾患の発症は乳児期に食物アレルギー(FA)の関与する乳児アトピー性皮膚炎(AD)で発症し気管支喘息(BA)、アレルギー性鼻炎と進展し、わが国に独特なアレルギー性疾患の発症・進展・重症化の要因を疾患ごとに明らかにした上で予防対策を施すことが求められている。
研究方法
相模原・群馬・岐阜3カ所の出生コホート研究においてそれぞれの特長を生かしアレルギー性疾患の有症率調査、発症の危険因子を解析した。コホート研究から得られた情報を元にFAの関与する乳児ADの前向き研究を開始した。FAに関して食物負荷試験の普及と侵襲の少ない診断方法を検討し、予防・寛解のメカニズムを探る。BAに関しては遺伝子多型、ダニ抗原、RSウイルスに対する反応性の検討が行われた。
結果と考察
3カ所の研究で共通に明らかになったことは乳幼児期のADのリスクとして乳児期の湿疹、家族のアレルギー歴の存在であった。相模原市のコホート研究の3歳児の調査においてBAの診断を受けていた児は14.7%で、4ヶ月の湿疹と8ヶ月・1歳・3歳のAD、FAの保有、アレルギー性疾患の家族歴と同居者の喫煙が気管支喘息発症の危険因子であった。相模原病院で呼吸器ウイルス感染症(RS, Rhino)、ダニ抗原暴露をモニターしながらのBA発症ハイリスクのFAの関与する乳児AD(H18年度エントリー25例)の前向き研究、さらに理化学研究所と共同でFAに関する遺伝子多型の研究を開始した。食物負荷試験ネットワークは累計症例数も1590例に達し、陽性率は平均47%(鶏卵:61%、牛乳:48%、小麦:38%、大豆:17%)であった。好塩基球ヒスタミン遊離試験のFA診断における有用性が検討され、最低抗原刺激濃度を求めることにより卵、牛乳、小麦のFA診断に有用であった。食品中の卵白主要抗原の定量を行い、加熱により抗原量の減少が認められ患者毎の摂取可能な抗原量の設定、食物負荷試験などに用いるための標準の食品を設定することが可能になった。
結論
FAに関する診断、治療、予防に関する実地的な研究成果が得られ、“食物アレルギーの診療の手引き”の改訂に役立てるデータが集積した。BAの遺伝子多型、ダニ抗原モニター法、RSVに対する獲得免疫に関する研究成果も得られ、発症予防のプロスペクティブ研究も含めた分担研究者間での共同研究も始まった。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
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