免疫疾患の既存治療法の評価とその合併症に関する研究

文献情報

文献番号
200631019A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患の既存治療法の評価とその合併症に関する研究
課題番号
H17-免疫-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田中 良哉(産業医科大学医学部第1内科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科 病態内科学講座・第二内科)
  • 猪熊 茂子(都立駒込病院 アレルギー膠原病科)
  • 金井 美紀(順天堂大学 医学部 膠原病内科)
  • 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科)
  • 熊谷 俊一(神戸大学大学院医学系研究科 臨床病態免疫学講座)
  • 田中 住明(北里大学 医学部 膠原病・感染内科)
  • 原 まさ子(東京女子医科大学 膠原病リウマチ通風センター)
  • 平形 道人(慶應義塾大学 医学部 内科学)
  • 広畑 俊成(北里大学 医学部 膠原病・感染内科)
  • 齋藤 和義(産業医科大学医学部第1内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性自己免疫疾患(膠原病)は多臓器病変を特徴とし、治療法はステロイド薬や免疫抑制薬等の副作用の多い非特異的免疫療法が中心であるが、既存治療法の評価や合併症対策は各施設の裁量に委ねられている。斯様な既存治療法の弱点の克服のために、多施設間で集積した臨床成績から既存治療法の有効性や副作用の発現を評価し、新たな治療ガイドライン、既存治療法による合併症の早期診断、一次予防基準を作成することを目的とする。
研究方法
多施設間で膠原病の既存治療法を、(1)呼吸器障害、(2)中枢神経障害、(3)血液障害に焦点を絞って、有効性や副作用の発現を評価した。既存治療法による合併症として(1)日和見感染症、(2)ステロイド骨粗鬆症について、前向き研究を行った。
結果と考察
1.  呼吸器障害: 65症例の膠原病に伴う間質性肺炎のうち死亡12例の治療は、治療開始から死亡までの期間が短い、ステロイド大量療法(100%)、パルス療法(73%)、シクロホスファミドパルス(IV-CY)療法(55%)等の強化療法で救命できなかったなどの特徴があった。縦隔気腫群ではIV-CYやシクロスポリンの使用頻度が高く、治癒例もあった。
2. ループス精神病:IV-CY療法はステロイドパルス療法より優れている傾向があったが、統計的有意差が証明できなかった。
3. 血栓症:SLEに伴う血栓性微小血管障害症(TMA)の生存率は76%で、生存例の治療では、血漿交換、IVCYが高い治療効果を示した。
4. 日和見感染症:膠原病10290例中19例でCMV感染症を併発し、7例が死亡した。高度の免疫抑制治療を施行例に発症し、重複感染症の合併例は予後不良であった。ニューモシスティス肺炎発症の危険因子4項目が抽出され、ST合剤で1次予防した66症例からのPCPは皆無であったが、非施行症例102症例から19名発症した。
5. 大量ステロイド骨粗鬆症と骨折:前向き無作為割り付け試験で、12ヶ月目に腰椎骨密度の低下は、VD3群に比し、ビスホスフォネート併用群では抑制できた。
結論
膠原病に併発する呼吸器障害、ステロイド精神病、血栓症、日和見感染症、ステロイド骨粗鬆症に焦点を絞り、既存治療法の有効性や副作用を評価した。今後、既存治療法の弱点を克服すべく新規治療法、予防法のガイドラインの作成を最終目的とする。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-