免疫疾患に対する免疫抑制療法等先端的新規治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200631018A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患に対する免疫抑制療法等先端的新規治療法に関する研究
課題番号
H17-免疫-一般-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科内科学講座・第二内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
  • 原田 実根(九州大学大学院医学研究院病態修復内科学)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学分野)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第六部)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
  • 坂口 志文(京都大学再生医科学研究所生体機能調節学)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
  • 畠山 鎮次(北海道大学大学院医学研究科分子生化学講座分子医化学分野)
  • 長澤 浩平(佐賀大学医学部内科学講座膠原病・リウマチ部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
基礎免疫学、臨床免疫学ならびに分子生物学の分野で世界をリードしている10人で研究組織を構成し、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、多発性筋炎などの難治性の全身性自己免疫疾患に対する先端的新規治療法の確立と開発を行うこと。
研究方法
①抗リン脂質抗体による細胞刺激シグナル、細胞活性化メカニズムについての検討を行った。②炎症誘発性サイトカインの分子レベルでのシグナル抑制機序を解析した。③TGF-βの作用に拮抗する薬剤の有効性、安全性を検討した。④IL-32による炎症性関節炎の病態形成への関与を検討した。⑤筋炎モデルマウスを確立し、詳細な検討を加えた。⑥多発性硬化症患者T細胞に発現亢進を認める蛋白の機能解析を行った⑦制御性T細胞特異的転写因子とその調節機構を解析した。⑧CD20抗体療法を、ステロイドや免疫抑制剤などの既存の治療に抵抗性を示した重症SLEに投与し、臨床症候、検査成績、画像所見などを検討した。⑨強皮症に対する自己末梢血幹細胞移植の安全性と有効性を検討した。⑩B細胞活性化が存在する自己免疫疾患で、RP105分子の発現を解析し、疾患活動性や自己抗体産生との関連を検討した。
結果と考察
分子標的阻害による抗リン脂質抗体症候群の新たな治療法の確立、TGFβアゴニストによる強皮症やループス腎炎等の繊維化病変の治療応用、ユビキチン化酵素や新規サイトカインIL-32をターゲットとした新たな関節リウマチの治療戦略が現実性を帯びてきた。免疫調節細胞であるCD4陽性CD25陽性の抑制性T細胞やNKT細胞の機能調節による免疫・炎症反応の抑制、さらには自己抗体産性B細胞を弁別できる方法論の確立等、新しい治療に応用可能な確実な研究成果が得られた。抗CD20抗体や造血幹細胞移植等すでに他分野で使用されている薬剤や治療の方法論が、自己免疫疾患の分野でも現実的に応用が可能となった。いままで存在しなかった、多発性筋炎のモデルマウスの作成に成功し、今後の治療法の開発に弾みがついた。
結論
わが国では、免疫難病の治療開発という領域は未だ未成熟であったために、欧米に比して画期的治療法を創出しえなかったが、班員相互の議論と技術的交流を通じて、先端的かつオリジナリティーの高い研究成果を上げることが出来た。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
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