文献情報
文献番号
200631011A
報告書区分
総括
研究課題名
衛生仮説を含めたアレルギー性疾患の発症関連環境要因の解明に関する前向きコホート及び横断研究
課題番号
H17-免疫-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
三宅 吉博(福岡大学医学部)
研究分担者(所属機関)
- 廣田 良夫(大阪市立大学大学院医学研究科)
- 大矢 幸弘(国立成育医療センター)
- 佐々木 敏(国立健康・栄養研究所)
- 横山 徹爾(国立保健医療科学院)
- 田中 景子(福岡大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アレルギー疾患の発症要因及び予防要因の解明は予防医学上、最も重要な課題の一つである。
本研究班の目的は、アレルギー疾患のリスク要因及び予防要因に関するエビデンスを蓄積することである。前向きコホート研究と横断研究の2本立てでリスク要因の解明を行う。
本研究班の目的は、アレルギー疾患のリスク要因及び予防要因に関するエビデンスを蓄積することである。前向きコホート研究と横断研究の2本立てでリスク要因の解明を行う。
研究方法
大阪母子保健研究(出生前開始二世代継続前向きコホート研究)では、計1002名の妊婦がベースライン調査に参加した。生まれた子供の4ヶ月時前後の第一回追跡調査には867組の母子、1歳6ヶ月時前後第二回追跡調査には763組の母子、2歳6ヶ月時前後第三回追跡調査には586組の母子が参加した。3歳6ヶ月時前後第四回追跡調査では、500組の母子の参加を見込む。
横断研究である琉球小児健康調査では、全公立小中学生38,212名中、28,897名が調査に参加した(75.6%)。吹田市、福岡市城南区と西区及び川越市公立小中学生を対象に、81,497名中18,919名(23.2%)が調査に参加した。福岡市の3歳児健康診査を受診した幼児を対象候補者とした調査では、平成19年3月8日現在、8269名中2087名(25.2%)の幼児が参加した。この内ISAACの診断基準で過去1年アトピー性皮膚炎有りと判断された幼児を症例群とした遺伝子多型に関する症例対照研究も実施し、症例群88名、対照群178名から遺伝子を得た。
横断研究である琉球小児健康調査では、全公立小中学生38,212名中、28,897名が調査に参加した(75.6%)。吹田市、福岡市城南区と西区及び川越市公立小中学生を対象に、81,497名中18,919名(23.2%)が調査に参加した。福岡市の3歳児健康診査を受診した幼児を対象候補者とした調査では、平成19年3月8日現在、8269名中2087名(25.2%)の幼児が参加した。この内ISAACの診断基準で過去1年アトピー性皮膚炎有りと判断された幼児を症例群とした遺伝子多型に関する症例対照研究も実施し、症例群88名、対照群178名から遺伝子を得た。
結果と考察
大阪母子保健研究の第二回追跡調査におけるISAACによる喘鳴とアトピー性皮膚炎の累積罹患率は22.1%、18.6%であった。医師による診断の喘息及びアトピー性皮膚炎の累積罹患率は4.3%、9.0%であった。いずれかの結果因子と有意な正の関連を認めた要因は、妊娠時ダニ防止カバー使用と高いダニ抗原量、台所のカビ、妊娠時自宅と幹線道路との距離(50m未満)、子供の年上兄弟有等であった。
琉球小児健康調査のデータでは、ツベルクリン陽性は喘鳴、喘息及びアトピー性皮膚炎の低い有症率と有意に関連していた。福岡市と吹田市のデータでは、台所のカビは全てのアレルギー疾患と有意な正の関連を認めた。喘鳴と有意な負の関連を示した栄養素は脂質、ビタミンK、一価不飽和脂肪酸、コレステロールであった。
琉球小児健康調査のデータでは、ツベルクリン陽性は喘鳴、喘息及びアトピー性皮膚炎の低い有症率と有意に関連していた。福岡市と吹田市のデータでは、台所のカビは全てのアレルギー疾患と有意な正の関連を認めた。喘鳴と有意な負の関連を示した栄養素は脂質、ビタミンK、一価不飽和脂肪酸、コレステロールであった。
結論
衛生仮説の真偽を一言で語ることは困難で、衛生仮説に関連する多くの要因を個別に詳細な解析を行うことで結論が得られると考える。
公開日・更新日
公開日
2007-07-13
更新日
-