リウマチ・アレルギー疾患の治療反応性予測因子の確立及びテーラーメイド治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200631002A
報告書区分
総括
研究課題名
リウマチ・アレルギー疾患の治療反応性予測因子の確立及びテーラーメイド治療法の確立に関する研究
課題番号
H16-免疫-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 油谷 浩幸(東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス部門)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
  • 谷口 敦夫(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 田村 直人(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 川上 純(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科)
  • 伊藤 聡(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学)
  • 南木 敏宏(東京医科歯科大学生体応用調節学膠原病・リウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)に用いられる抗リウマチ薬や生物学的製剤の有効性、副作用を予測する因子を明らかにする事を目的とした。
研究方法
臨床的有効性に関する検討 臨床検査システムの開発 候補分子解析 候補遺伝子解析 網羅的遺伝子発現解析 低密度カスタムDNAマイクロアレイを用いた解析 高密度DNAマイクロアレイ(Code Link)を用いた解析
結果と考察
2005年承認された生物学的製剤エタネルセプトの使用ガイドラインを作成した。また、予後不良因子の一つ抗CCP抗体と関連するPADI4およびFCRL3遺伝子型についてその民族差を検証すると共に、MTXの有効性、副作用と関連する遺伝子多型、SASPの副作用と関連する遺伝子多型を明らかにした。一方、TNF阻害製剤の有効性を予測するための網羅的遺伝子発現解析が進められ、班で開発した低密度カスタムマイクロアレイを用い、インフリキシマブ投与前に有効例を80%の正確性で診断しうるアルゴリズムを構築した。
結論
in vitro TNF産生システムの検討、網羅的遺伝子発現解析が進められ、班で開発した低密度カスタムマイクロアレイならびに高密度マイクロアレイの2つの方法で、有望な結果が報告された。これらの情報を集約して、実際の臨床現場に効率よく適用する方法を検討していく必要がある。それによって個々の症例に最適な治療方針を提示する事が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200631002B
報告書区分
総合
研究課題名
リウマチ・アレルギー疾患の治療反応性予測因子の確立及びテーラーメイド治療法の確立に関する研究
課題番号
H16-免疫-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 油谷 浩幸(東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス部門)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
  • 谷口 敦夫(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 小林 茂人(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 深沢 徹(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 田村 直人(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 川上 純(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科)
  • 伊藤 聡(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学)
  • 南木 敏宏(東京医科歯科大学生体応用調節学膠原病・リウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤の有効性、副作用を予測し、個々の症例に適した投与法を提唱することである。そこで、MTXを初めとする抗リウマチ薬や生物学的製剤をより効率よく必要な症例に投与するためのテーラーメイド医療の構築することを目的として検討を行った。
研究方法
臨床的有効性に関する検討 臨床検査システムの開発 候補分子解析 候補遺伝子解析 網羅的遺伝子発現解析 低密度カスタムDNAマイクロアレイを用いた解析 高密度DNAマイクロアレイ(Code Link)を用いた解析
結果と考察
エビデンスAの抗リウマチ薬MTX, SASP, BUCの3剤について、臨床的、遺伝子的解析を行い、MTXの有効性、副作用と関連する遺伝子多型、SASPの副作用と関連する遺伝子多型、BUCの有効性と関連する臨床的特徴を明らかにした。腫瘍壊死因子Tumor Necrosis Factor (TNF)を標的とした生物学的製剤は、上記抗リウマチ薬に抵抗性の症例にも優れた効果があるが、その効果は50-60%前後で、結核を初めとする感染症等の副作用も課題とされてきた。そこで、我が国で承認されたインフリキシマブ、エタネルセプトの2剤の生物学的製剤を有効かつ安全に使用するためのガイドラインを作成した。インフリキシマブの治療反応性の予測因子を検索したところ、臨床パラメーターからインフリキシマブに特異性の高い有効性予測因子を見いだす事は困難であった。一方、in vitro TNF産生検査、網羅的遺伝子発現解析によって、インフリキシマブ投与前に正確性80%以上で有効例を予測可能という結果を得た。今後、これらの情報を集約して、薬剤選択アルゴリズムを構築し、実際の臨床現場に効率よく適用する方法を検討する必要がある。それによって個々の症例に最適な治療方針を提示する事が可能となる。
結論
本研究で報告された有効性および副作用予測法を臨床現場に導入するための具体的方策が必要である。本研究で明らかにされた細胞内発現解析アルゴリズムをコンテンツとするカートリッジ型マイクロアレイシステムの開発研究が平成18年度から開始された。

公開日・更新日

公開日
2007-07-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200631002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
抗リウマチ薬、MTXの有効性、副作用と関連する遺伝子多型、SASPの副作用と関連する遺伝子多型を明らかにした。キメラ型モノクローナル抗体インフリキシマブの治療反応性は、臨床パラメーターから予測不可能であった。そこでin vitro TNF産生システムの検討、網羅的遺伝子発現解析が進められ、班で開発した低密度カスタムマイクロアレイならびに高密度マイクロアレイの2つの方法で、診断正確度80%で投与前にインフリキシマブの有効性を予測することを示した。
臨床的観点からの成果
抗リウマチ薬や生物学的製剤を効率よく、必要な症例に投与するテーラーメイド医療を構築する必要性が叫ばれている。本研究によって薬剤の有効性、安全性と関連する臨床パラメータやそれを予測するため免疫学的検査、遺伝子発現アレイ検査、さらにはゲノム診断法が示された。同時に本邦で承認された2剤の生物学的製剤、インフリキシマブとエタネルセプトの使用ガイドラインを作成した。これらの情報を組み合わせることによって従来では困難であった薬剤選択の個別化が可能となる事が期待される。
ガイドライン等の開発
1) Official Japanese guidelines for the use of infliximab for Rheumatoid Arthritis. Mod Rheum 15:4-8, 2005.
2) Guidelines for the proper use of etanercept in Japan. Mod Rheum 16:85-91,2006
共に、宮坂信之、竹内 勤、江口勝美
その他行政的観点からの成果
本邦で始めて承認された生物学的製剤、インフリキシマブおよびエタネルセプトの使用ガイドラインを作成し、その導入にあたっての適応や案全性に関し、広くリウマチ医に周知させる事が出来た。それによって安全性に関して大きな問題点もなく、当初懸念された結核の再燃も予想範囲内に留まった事も含め、大きな成果が得られたと考える。
その他のインパクト
財団法人日本予防医学協会主催 リウマチ・アレルギーシンポジウムPart 2 Tokyo
2007.2.10
パネルディスカッションテーマ「リウマチ治療で知っておくべきこと」
講演「生物学的製剤の効き目と副作用」
日本経済新聞2007.10.20掲載

発表件数

原著論文(和文)
132件
原著論文(英文等)
183件
その他論文(和文)
65件
その他論文(英文等)
6件
学会発表(国内学会)
429件
学会発表(国際学会等)
53件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-