肝がん患者のQOL向上に関する研究

文献情報

文献番号
200630021A
報告書区分
総括
研究課題名
肝がん患者のQOL向上に関する研究
課題番号
H18-肝炎-一般-004
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 研司(独立行政法人労働者健康福祉機構横浜労災病院)
研究分担者(所属機関)
  • 小俣 政男(東京大学大学院医学系研究科消化器内科)
  • 工藤 正俊(近畿大学消化器内科学講座)
  • 熊田 博光(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
  • 佐田 通夫(久留米大学 内化学講座 消化器内科部門)
  • 國土 典宏(東京大学 肝胆膵・人工臓器移植外科)
  • 門田 守人(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座消化器外科学)
  • 兼松 隆之(長崎大学大学院 移植・消化器外科)
  • 江川 裕人(京都大学 臓器移植医療部)
  • 森脇 久隆(岐阜大学大学院医学研究科腫瘍制御学講座消化器病態学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝がんは根治的治療が行われても再発が避けられず,治療を長期に亘って繰り返さざるを得ない。従って,各治療法の有用性も生存率のみではなく,患者のQOL(quality of life)を考慮して評価する必要がある。そこで,平成15年度に肝がん患者用の新規質問票を作成し,平成16年度には肝がんに対する各種治療法の有用性をQOLの観点から評価するprospective studyを開始した。同年の検討では治療3ヶ月後までのQOLに関しては,治療時の疼痛をコントロールできれば,RFA治療が他の治療法に比して良好であることが示された。そこで,本年度は更に長期にわたるQOLに関して検討を行った。
研究方法
計21項目,4種類の下位尺度からなる新規質問票とSF-36を用いて肝がんの初回及び再治療例を対象に治療前と治療後3ヶ月毎にQOLを評価した。再治療の場合は,一年以内に無治療の患者を対象とした。肝移植,外科的切除,ラジオ波焼灼など根治的治療を予定の患者は,治療歴の有無を問わず対象とした。
結果と考察
調査要領の改定が11月に終了し,12月1日より調査が再開され,今年度は治療前の成績のみが解析可能であった。調査は現在も継続中である。10施設で計36例 [男29例,女7例:65歳10ヶ月 ± 8歳4ヶ月(平均 ± 標準偏差;46- 86歳)]を対象に,計36件のアンケート調査が実施された。慢性肝疾患の成因は,B型肝炎 7例,C型肝炎 21例,B型,C型の重複感染1例で,ウイルス性慢性肝疾患が全体の約80%を占めていた。治療法は,肝切除術3例,IVR(TAEなど)8例,RFA(ラジオ波焼灼術)24例であった。対象をChild-Pugh (C-P)scoreによりA,B,Cの3群に分類した。SF-36のスコアで3群間を分散分析により比較すると,下位尺度VT,SFで有意差(p<0.05)が認められ,全体として,C-P gradeがA,B,Cの順でSF-36のスコアが低下する傾向がみられた。今回のprospective studyに登録された症例はQOLを評価する対象として適切であると考えられた。
結論
新規質問票をSF-36と共に用いて肝がん治療後一年間にわたる患者のQOLに関するprospective studyを再開した。現在,登録症例数を増やしながら,治療後3ヶ月ごとに一年間のQOLの調査を進めている。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
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