文献情報
文献番号
200630016A
報告書区分
総括
研究課題名
新規癌胎児性抗原を利用した肝細胞癌の診断と治療
課題番号
H17-肝炎-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
木下 平(国立がんセンター東病院 上腹部外科)
研究分担者(所属機関)
- 古瀬 純司(国立がんセンター東病院 肝胆膵内科)
- 中面 哲也(国立がんセンター東病院臨床開発センター がん治療開発部 機能再生室)
- 佐々木 裕(熊本大学大学院医学薬学研究部 消化器内科学分野)
- 千住 覚(熊本大学大学院医学薬学研究部 免疫識別学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、肝細胞癌に特異的に高発現する新規癌胎児性抗原であるGlypican-3 (GPC3)を用いた肝細胞癌の診断法、ならびにGPC3を標的とするペプチドワクチンを用いた新しい肝細胞癌の治療法の開発を目的とする。
研究方法
マウスを使った前臨床試験により、至適アジュバントと投与量、投与回数の検討を行い、最適のプロトコールを作成した。また、第三者機関である日本生物科学センター岐阜研究所に依託し、GPC3ペプチドのマウスを用いた単回皮下投与毒性試験を実施した。
一方、新たな癌免疫療法の開発を目指して、強い腫瘍抗原特異的T細胞応答を誘導できる樹状細胞をヒトES細胞より分化誘導する方法を確立した。
一方、新たな癌免疫療法の開発を目指して、強い腫瘍抗原特異的T細胞応答を誘導できる樹状細胞をヒトES細胞より分化誘導する方法を確立した。
結果と考察
1.GPC3ペプチドワクチンによる肝細胞癌免疫療法の開発
マウス動物実験でのエビデンスに基づいて臨床試験のプロトコールを作成した。第1相臨床試験では、投与回数を3回、投与量を0.3, 1.0, 3.0 mgの3段階にし、安全性を確認しながら容量を増やしていく設定とし、免疫学的モニタリングによって次相の至適投与量、投与回数を決める方針にした。また、第三者機関によるGPC3ペプチドのマウスを用いた単回皮下投与毒性試験によってペプチドの安全性が証明された。進行癌患者を対象とする第1相試験を計画し、国立がんセンター倫理審査委員会の承認を得て、平成19年2月から臨床試験を開始した。
2.ES細胞由来樹状細胞(ES-DC)ワクチンの開発
モデル抗原遺伝子を導入したヒトES細胞より分化誘導した樹状細胞(ヒトES-DC)を用いて、ヒトT細胞に抗原特異的な免疫応答を誘導することに成功した。
マウス動物実験でのエビデンスに基づいて臨床試験のプロトコールを作成した。第1相臨床試験では、投与回数を3回、投与量を0.3, 1.0, 3.0 mgの3段階にし、安全性を確認しながら容量を増やしていく設定とし、免疫学的モニタリングによって次相の至適投与量、投与回数を決める方針にした。また、第三者機関によるGPC3ペプチドのマウスを用いた単回皮下投与毒性試験によってペプチドの安全性が証明された。進行癌患者を対象とする第1相試験を計画し、国立がんセンター倫理審査委員会の承認を得て、平成19年2月から臨床試験を開始した。
2.ES細胞由来樹状細胞(ES-DC)ワクチンの開発
モデル抗原遺伝子を導入したヒトES細胞より分化誘導した樹状細胞(ヒトES-DC)を用いて、ヒトT細胞に抗原特異的な免疫応答を誘導することに成功した。
結論
平成17年度より3年間の研究計画として発足した本研究において2年目となる本年度は、GPC3を標的とした肝細胞癌の免疫療法に関する臨床第1相試験をスタートさせ、3年計画の最終年度内に終了できる見通しとなり、所期の目標を十分に満たす成果が得られたと考える。最終年度の平成19年度は、集大成としての臨床第1相試験を円滑に遂行するとともに、GPC3遺伝子を導入したヒトES-DCを用いた癌の細胞ワクチン開発に関わる基礎研究やGPC3の診断への応用などについてさらに研究を進め、次年度以降の第2相、第3相試験への足がかりとすることを目標とする。
公開日・更新日
公開日
2007-04-11
更新日
-