肝硬変に対する治療に関する研究

文献情報

文献番号
200630014A
報告書区分
総括
研究課題名
肝硬変に対する治療に関する研究
課題番号
H17-肝炎-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石橋 大海(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 古賀 満明(独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター)
  • 小林 正和(独立行政法人国立病院機構中信松本病院)
  • 林 茂樹(独立行政法人国立病院機構災害医療センター)
  • 酒井 浩徳(独立行政法人国立病院機構別府医療センター)
  • 加藤 道夫(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 矢倉 道泰(独立行政法人国立病院機構東京病院)
  • 竹﨑 英一(独立行政法人国立病院機構呉医療センター)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構大分医療センター)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター)
  • 正木 尚彦(国立国際医療センター)
  • 足立 浩司(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター)
  • 増本 陽秀(独立行政法人国立病院機構小倉病院)
  • 山東 剛裕(独立行政法人国立病院機構京都医療センター)
  • 中尾 一彦(長崎大学 医学部)
  • 矢野 博久(久留米大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
39,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、ウイルス性肝硬変患者に対して、ウイルス駆除(B型肝炎ではウイルス増殖持続抑制)と発癌抑止の2つの治療目標を設定し、それぞれの目標に対する具体的な治療法の提示と治療指針の作成することで、わが国のウイルス性肝硬変患者の生命予後、QOLを改善させることを目指す。
研究方法
 本研究班では政策医療として既に組織が編成され活動をおこなっている国立病院機構内の肝疾患専門医療施設26施設を中心として多施設共同研究をおこなう。
結果と考察
 PegIFNとリバビリン併用療法をおこなったC型慢性肝炎症例(肝硬変例を含む)のうち1068例(HCV I型 822例、II型 246例)が本研究班の解析症例として登録された。
 I型高ウイルス(100 KIU/ml)群で既に治療終了後24週経過した413例でのSVR(Sustained Viral Response)率は、35%(全症例)、43%(24週以上投与例)、53%(48週以上投与例)であった。SVRに関係する多変量解析結果では1)治療期間、2)血小板数、3)肝硬変の有無の3つが有意な因子として抽出され、治療中の評価因子であるEVR(Early Viral Response:治療12週目の血中HCV-RNA陰性化)有り例では68~72%、無し例では9~19%のSVR率と有意な差を認めた(P<0.0001)。
 IFNγで誘導されるケモカイシンである血中IP-10(CXCL10)濃度とSVRとの関連について242例(SVR 90例、Non-SVR 152例)で検討した。血中IP-10濃度が150pg/ml未満では68%、150~600 pg/mlでは38%、600pg/ml以上では28%のSVR率であり、600pg/ml以上では有意に低いSVR率(68% vs. 28%: P=0.0005, 38% vs. 28%: P=0.009)を示した。
 C型肝炎IFN治療に関連する薬物応答性遺伝子の検討では、IFNシグナルに関連する25遺伝子、116箇所のSNP解析をおこなった。登録症例のうち886例でDNA抽出、632例でSNPタイピングが終了した。さらに350例でSVRとの関連についての解析が終了し、2つの遺伝子が治療効果に関連すると考えられた。
結論
 PegIFNとリバビリン併用療法の治療効果には、治療期間、肝硬変の有無、IFN応答性遺伝子等が関与する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-