歯科診療におけるB型及びC型肝炎防止体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200630005A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科診療におけるB型及びC型肝炎防止体制の確立に関する研究
課題番号
H16-肝炎-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 田鶴子(日本歯科大学生命歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 哲朗(国立感染研究所)
  • 石橋 克禮(鶴見大学歯学部)
  • 荒木 孝二(国立大学法人東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センター)
  • 土持 眞(日本歯科大学新潟生命歯学部)
  • 佐藤 聡(日本歯科大学新潟生命歯学部)
  • 山口 晃(日本歯科大学新潟病院)
  • 鶴本 明久(鶴見大学歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の病院レベルの診療施設では、院内感染対策のガイドラインが確立しているが、市中の一般歯科診療施設では、院内感染対策について大病院の基準のすべてを準拠することはきわめて困難である。したがって、各一般歯科診療施設単位で院内感染対策ガイドラインの必要性がある。
 この度の本研究班に委ねられたのは、B型およびC型肝炎感染防止体制の確立ではあるが、それだけでは歯科診療上、院内感染対策として当然片手落ちであるため、スタンダードプレコーションの考えに基づき歯科医院の院内感染対策ガイドラインを作成することとした。
研究方法
初年度は、第一段階として歯科医療におけるCDCガイドラインを本研究班で翻訳を行い、ガイドラインの骨子と試みたが、米国各州との法制度の相違等により、準用することが難しい項目も多く、参考にはなったが直接的ではなかった。
 そこで、二年目からは、研究班員がそれぞれの歯科の中の専門領域を担当し、the Cochrane libraryを用いて、ガイドライン作成のために院内感染対策の各要項をPCを用いて網羅的に検索し、必要に応じてメタアナリシスを行うこととした。その結果を、ガイドラインとして要約し、EBMに基づくガイドラインとした。
結果と考察
その後、作成したガイドラインに基づき、手順としてわかりやすい表現を加えて、マニュアル化し歯科医師が実際に用いられ易いものを検討し実践マニュアルとして作成した。このマニュアルにはガイドラインからマニュアルに各自がするために便利な図や表をCDにして搭載することを検討している。
さらに、マニュアルに準じて動作を加味した一般歯科診療における院内感染対策をDVD化し、教育面で利用できるかと考えた。今後、どう流布していくかが、歯科界の課題である。
結論
スタンダードプレコーション方針で一般歯科医院の院内感染対策ガイドラインを作成する研究を行い、所期の目的を果たすことができた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200630005B
報告書区分
総合
研究課題名
歯科診療におけるB型及びC型肝炎防止体制の確立に関する研究
課題番号
H16-肝炎-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 田鶴子(日本歯科大学生命歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 哲朗(国立感染研究所)
  • 石橋 克禮(鶴見大学歯学部)
  • 荒木 孝二(国立大学法人東京医科歯科大学医歯学教育システムセンター)
  • 土持 眞(日本歯科大学新潟歯学部)
  • 佐藤 聡(日本歯科大学新潟歯学部)
  • 山口 晃(日本歯科大学新潟病院)
  • 鶴本 明久(鶴見大学歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1) 各病院レベルでは、院内感染対策マニュアルが整備されているが、一般開業の歯科医院(一般歯科診療)では、それに匹敵するものがないのが現状である。
(2) 従来から歯科領域のエビデンスに立脚した診療全般のガイドラインがなかった。
(3) 各歯科医院で実際に応用できるガイドライン及びそこから派生するマニュアルの作成が望まれていた。


研究方法
(1)CDCの歯科診療上の院内感染対策ガイドラインを翻訳し、対応を求めたが、無理があった。
(2)コクランライブラリーを用いて、歯科臨床医が一般開業歯科医院で確実に行えるEBMに立脚した院内感染対策をガイドラインとして作成した。
(3)(2)のガイドラインを元に、一般開業歯科医院で実践しやすい院内感染対策マニュアルを作成。
(4)(3)のマニュアルを実際に使用する際の必須事項などを容易に取りだせ、使用する歯科医院ごとに自己のイメージにあったものにモディファイできるように貼付表などをCD-ROM化し、応用展開を図った。
(5)作成したガイドラインに則して、一般開業歯科医院で実践しやすい院内感染対策をDVD化を試みた。
結果と考察
当初の目標は、このガイドラインをはじめその展開資料は、将来、歯科医師の卒後研修、歯科医師の卒後再教育に応用できるものとし、歯科学生教育や歯科衛生士教育の現場でも活用することを期待していた。
結論
結果的には、3年間の本研究終了直後(平成19年4月1日)に医療法の一部改正があり、一般の歯科診療所でも院内感染対策ガイドラインを具備しなければならなくなった。そこで、歯科ではガイドラインを認定する機関である日本歯科医学会および本研究の元である厚労省を通して、このガイドラインを公認された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200630005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
約2年前から医学領域全般にエビデンスに基づく診療ガイドラインの作成が緒に就き、本年初めにはじめて「診療ガイドラインの作成法」なるものが世に出てきた。同じ時期に歯科領域で初めてこれに匹敵するものが完成できたことは、きわめて学術的にも意義があると考える。
臨床的観点からの成果
臨床的にはきわめて重要なガイドラインであるとともに、診療担当者の防御が中心の今までの偏った意見を整理できることができていると考える。つまり、普遍的かつ必要性に富んだものとなった。
ガイドライン等の開発
診療ガイドライン「エビデンスに基づく一般歯科診療における院内感染対策」の完成
その他行政的観点からの成果
研究終了直後の平成19年4月1日から、改正医療法により、一般歯科診療所でも院内感染対策ガイドラインを具備しなければならず、タイムリーに歯科医療領域に適応することができた。
その他のインパクト
MDental Tribune 5月号に特集記事として掲載予定。

発表件数

原著論文(和文)
4件
一般歯科診療における院内感染対策ー今なにが求められているかー他3件
原著論文(英文等)
1件
Quantitative Detection of Hepatitis C Virus(HCV)RNA in Saliva and Gingival of HCV-Infected Patients.
その他論文(和文)
2件
著書:日本歯科医学会監修「エビデンスに基づく一般歯科診療における院内感染対策」 日本歯科医学会刊行「エビデンスに基づく一般歯科診療における院内感染対策ー実践マニュアルー」
その他論文(英文等)
0件
ガイドラインの性質上、わが国に限った。
学会発表(国内学会)
4件
以下の原著論文に関する発表
学会発表(国際学会等)
0件
ガイドラインの性質上、わが国に限った。
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
ガイドラインの性質上、特許の出願には該当しない。
その他成果(施策への反映)
2件
日本歯科医学会を通して上記のガイドラインの刊行とマニュアルの刊行も行った
その他成果(普及・啓発活動)
2件
上記ガイドライン及びマニュアルを日本歯科医学会から日本歯科医師会を通して、また、一般書店からも広く流布

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
佐藤田鶴子
一般歯科診療における院内感染対策ー今なにが求められているかー
東京矯正歯科学会誌 , 15 , 1-5  (2005)
原著論文2
今井敏夫、佐藤田鶴子、砂田勝久、他
歯科衛生士のC型肝炎ウイルスによる職業曝露に関する意識調査
日本歯科医療管理学会 , 40 (2) , 94-103  (2005)
原著論文3
佐藤 聡、荒木孝二、山口晃他
EBMに基づいた歯科診療における院内感染リスクの低減
日本歯科医師会誌 , 58 (6) , 557-562  (2005)
原著論文4
T.Suzuki,K.Omata,T.Satoh,et al
Quantitative Detection of Hepatitis C Virus(HCV)RNA in Saliva and Gingival Crevicular Fulid of HCV-Infected Patients.
J. of Clinical Microbiology , 43 , 4413-4417  (2005)
原著論文5
長島弘征、石橋克禮、中山礼子、田中健雄、臼井弘幸、浅田洸一
アンケートによる二次、三次歯科医療施設における院内感染対策および歯科用器具による曝露事故に関する実態調査
歯科薬療 , 23 (3) , 119-128  (2005)

公開日・更新日

公開日
2016-07-11
更新日
-