HIV感染予防における経粘膜ワクチンの開発

文献情報

文献番号
200629015A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染予防における経粘膜ワクチンの開発
課題番号
H18-エイズ-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
廣井 隆親(財団法人 東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 川口寧(東京大学医科学研究所・感染症国際研究センター・感染制御部門)
  • 横田恭子(国立感染症研究所・免疫部)
  • 高橋秀実(日本医科大学・微生物免疫学講座)
  • 清野宏(東京大学医科学研究所・炎症免疫学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIVは世界で感染者数が劇的に増え続けている感染症であるが、未だ有効なワクチンが存在しない。HIVの初期の感染経路である粘膜面で阻止するために、膣粘膜上に細胞性と液性免疫の両方を誘導する新規粘膜ワクチンを開発する。
研究方法
HIVは主に粘膜から感染することから、粘膜アジュバントの可能性が示唆されるIL-15またはIL-2をHIVの抗原とともにウイルスベクターに搭載する3種類のウイルスを作成する。さらにIL-15の膣内における機能を解析するために、腸管からIL-15を過剰発現するマウス(T3b-IL-15Tgマウス)の膣内の粘膜固有層に存在するリンパ球サブセットを解析した。本実験では野生型に近いワクシニアウイルスWR株と特定の細胞株でしか増殖しない、安全性の高いMVA株を用いる。このウイルス感染の際、膣内環境が性周期により変化することから、性ホルモンであるprogesteroneの誘導体を皮下注射することにより性周期のコントロールを試みた。
結果と考察
HIVを用いた組み換えワクシニアウイルス作成を行うために厚生労働省の大臣確認の申請を行った。また組み替えワクシニアウイルス作成用プラスミドベクターの構築に成功した。IL-15Tgマウスの粘膜固有層のリンパ球サブセットを解析した結果、主にCD8陽性細胞が増加していた。これはエイズ感染防御に働く細胞障害性T細胞の誘導の可能性を示唆し、エイズ粘膜ワクチンの作成をサポートするものである。またprogesteroneの誘導体を皮下注射することにより性周期のコントロールを試みた結果、皮下注射五日後の膣洗浄液中には剥離した角化細胞は見当たらず、発情間期を示すリンパ球が確認されたことから、progesterone誘導体投与によって性周期をコントロールし、ウイルスベクター感染に適した発情間期を誘導した。
結論
ワクシニアウイルス作成の為のプラスミドの構築を行い、組換えワクシニアウイルス作成用プラスミドの構築を完了した。IL-15の膣粘膜における生理作用を検討し、IL-15の粘膜アジュバントとしての可能性を示唆する結果を得た。さらに効率的なワクチンベクター感染の為の発情間期の誘導もprogesterone誘導体の皮下注射により確認した。以上の結果より次年度における組換えワクシニアウイルスを用いたHIV粘膜ワクチンの効果を検討する準備が完了したと言える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-16
更新日
-