文献情報
文献番号
200629007A
報告書区分
総括
研究課題名
開発途上国における薬剤耐性予防などARV治療の質的向上と推進に関わる研究
課題番号
H17-エイズ-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
若杉 なおみ(早稲田大学政治経済学術院)
研究分担者(所属機関)
- 岡 慎一(国立国際医療センター治療研究開発センター)
- 志村 まり(国立国際医療センター研究所難治性疾患研究部難治性疾患研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、基礎的研究と臨床的疫学的研究を統合しながら、開発途上国におけるエイズ患者の抗レトロウイルス薬(Antiretroviral :ARV)治療が量的に拡大するだけではなく、質的な向上を伴なって推進されていくことを目的とする。
研究方法
石川:ザンビアにおける結核HIV二重感染者を検出し、治療結果を検討する。
岡:ザンビア人のCYP(cytochromeP)遺伝子型とEFV血中濃度および臨床的副作用の相関について検討する。
若杉:コートジボワールにおけるHIV感染小児の検出・診断とARV治療の効果について調査検討する。
志村:HIV-1感染によって誘導される血球細胞の染色体異常の責任分子を明らかにし、その測定法を確立する。
岡:ザンビア人のCYP(cytochromeP)遺伝子型とEFV血中濃度および臨床的副作用の相関について検討する。
若杉:コートジボワールにおけるHIV感染小児の検出・診断とARV治療の効果について調査検討する。
志村:HIV-1感染によって誘導される血球細胞の染色体異常の責任分子を明らかにし、その測定法を確立する。
結果と考察
石川:昨年に引き続きフォローしていた結核HIV二重感染者91名のうち33名(36.3%)がこれまで12ヶ月間のARV治療を完遂したが、死亡が15名(16.4%)、医師による治療中断が5名(5.5%)、転出15名が認められた。
岡:ザンビア人のCYP遺伝子型は*6が40.5%とwild typeとほぼ同等の頻度であり、*18の頻度も10.5%と高く、両方合わせると50%を超えることが明らかとなった。このことからザンビア人の4人に一人はEFVの血中濃度が通常の3倍程度高くなることが明らかになった。しかし、ザンビア人においては、EFV血中濃度と臨床的な副作用の間に相関はなかった。
若杉:コートジボワールの調査でHIV 感染が確認された2476人(0-13歳)の小児のうち1042人(40%)にARV治療が開始され、12ヶ月生存率は68%から89%で、CD4(%)の上昇は+11(4.2-16)、BMIの上昇は+1.3(0.1-2.6)、ヘモグロビンの上昇は+1.4(1.0-2.4)と、無治療に比べ生存率、臨床効果ともに有効性が示された。
志村:健常人末梢単核球細胞を用いた感染実験及びVpr発現実験で、染色体異常PCSの主要原因はVprであることが示唆された。また抗Vprモノクローナル抗体の作成に成功し、HIV-1 感染者由来血漿中のVprの検出が可能となった.Vpr検出があった感染検体は、HIV-1 RNAコピー数の高い傾向を示した.
岡:ザンビア人のCYP遺伝子型は*6が40.5%とwild typeとほぼ同等の頻度であり、*18の頻度も10.5%と高く、両方合わせると50%を超えることが明らかとなった。このことからザンビア人の4人に一人はEFVの血中濃度が通常の3倍程度高くなることが明らかになった。しかし、ザンビア人においては、EFV血中濃度と臨床的な副作用の間に相関はなかった。
若杉:コートジボワールの調査でHIV 感染が確認された2476人(0-13歳)の小児のうち1042人(40%)にARV治療が開始され、12ヶ月生存率は68%から89%で、CD4(%)の上昇は+11(4.2-16)、BMIの上昇は+1.3(0.1-2.6)、ヘモグロビンの上昇は+1.4(1.0-2.4)と、無治療に比べ生存率、臨床効果ともに有効性が示された。
志村:健常人末梢単核球細胞を用いた感染実験及びVpr発現実験で、染色体異常PCSの主要原因はVprであることが示唆された。また抗Vprモノクローナル抗体の作成に成功し、HIV-1 感染者由来血漿中のVprの検出が可能となった.Vpr検出があった感染検体は、HIV-1 RNAコピー数の高い傾向を示した.
結論
エイズ発症者・HIV感染率が世界でも最も高いアフリカの現場で、エイズ患者のARV治療に関連する基礎的・臨床疫学的な諸研究が行なわれた結果、ARV治療の質的向上に結びつけることが期待される結果が得られた。
公開日・更新日
公開日
2008-06-24
更新日
-