HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携の利活用に関する研究

文献情報

文献番号
200629005A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV診療支援ネットワークを活用した診療連携の利活用に関する研究
課題番号
H17-エイズ-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
菊池 嘉(国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 昌範(東京医科大学医療情報学講座)
  • 山本 隆一(東京大学大学院情報学環)
  • 木内 貴弘(東京大学医学部附属病院医療情報ネットワークセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV診療ネットワーク(A-net)は、平成10年当時のセキュリティー技術としては最高度の機密性の高いVirtual Private Network(VPN:仮想専用線網)を利用し、患者情報を共有し、日々の臨床に役立てることを主目的とし、電子カルテの先駆けとしてスタートした。しかし、ここ数年は、利用者・患者登録とも増えない、利活用されない状況が目立ってきた。利用が減りつつある現状を分析し、活用されるネットワークとなるためには、いかにすべきか検討する。
研究方法
実際のA-netの利用がどういう状況であるのか、保守センターから調査した。ユーザーより利用状況の意見を聴取し、データー入力者からの自由記載型の聞き取り調査を実施した。ネットワークセキュリティーを再評価するために、日本規格協会発行の、JIS Q 27001:2006 (情報セキュリティーマネジメントシステム-要求事項)を用いて、A-netのセキュリティーを監査した。
結果と考察
A-net利用者数は256名、登録患者数は510名であり、利用者が増えず、登録患者数が伸び悩んでいる傾向が分かった。稼動施設も117施設と減少し、このうち42施設では利用者が不在であり、事実上の稼動施設は70施設程度で、利用されていない現状が明らかになった。累積データこそ3万件を超えたが、今年度の新規入力分は9割が検査データーの自動取り込みが実施されている施設からのデータに限られ、用手入力が行われている施設は1割であった。ユーザーからの意見としては、パフォーマンスが非常に悪く、入力に長時間を要し、多忙な臨床現場そぐわないなどが寄せられた。セキュリティーの監査に関しては、平成10年当時のセキュリティー技術を駆使して情報が保護されており、これまで7年間の実動期間中に一度も情報漏洩の問題が起きていない強固な面が明らかにされた。しかし、保守期間が切れているハードウエアを継続使用しなければならない状況が明らかになり、万が一機器の故障が起きた場合には、データベース自体は守られるものの、運用面では稼動が止まってしまう危険性も示唆された。
結論
A-netがあまり使われていない状況が明確となった。その原因は、パフォーマンスの低さにあり、最近数年間のコンピューター技術の進歩に取り残された状況となっている。本研究3カ年計画の最終年度には、セキュリティーを担保しつつ、パフォーマンスを上げる抜本的な改革が必要である。A-net部会を次年度は頻回に開いて、原告団の意見および原告団以外の患者からの意見も聞きながら、新規システムの導入へ繋げていきたい。

公開日・更新日

公開日
2007-05-23
更新日
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