文献情報
文献番号
200629001A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤耐性HIVの発生動向把握のための検査方法・調査体制確立に関する研究
課題番号
H16-エイズ-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(国立感染症研究所エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 桑原 健(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター薬剤科)
- 潟永 博之(国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター)
- 金田 次弘(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
- 加藤 真吾(慶應義塾大学医学部微生物免疫学教室)
- 児玉 栄一(京都大学ウィルス研究所附属エイズ研究施設感染免疫研究領域)
- 巽 正志(国立感染症研究所エイズ研究センター)
- 白阪 琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター)
- 松下 修三(熊本大学エイズ学研究センター)
- 仲宗根 正(国立感染症研究所エイズ研究センター)
- 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科病態制御学講座)
- 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター感染症対策室)
- 伊藤 俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター血液内科)
- 稲吉 恵(静岡県環境衛生科学研究所微生物部)
- 近藤 真規子(神奈川県衛生研究所微生物部)
- 貞升 健志(東京都健康安全研究センター微生物部)
- 健山 正男(琉球大学大学院医学研究科・感染病態制御学講座)
- 原 孝(茨城県衛生研究所)
- 山口 由美(独立行政法人産業技術総合研究所生物情報解析研究センター)
- 森 治代(大阪府立公衆衛生研究所ウィルス課)
- 上田 幹夫(石川県立中央病院血液病治療部)
- 下条 文武(新潟大学医歯学総合病院第2内科)
- 木村 昭郎(広島大学原爆放射線医科学研究所ゲノム疾患治療研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
101,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
我が国における薬剤耐性HIVの調査体制の確立と、薬剤耐性HIV症例の増加を抑制する対策を提案すること。
研究方法
研究班では①新規HIV/AIDS診断症例の捕捉と薬剤耐性検査・調査体制の確立を行う疫学調査研究。②至適治療を支援するために治療薬剤血中濃度のモニタリング研究に取り組む治療最適化研究。③薬剤耐性HIVの増加の抑制を目指した薬剤耐性基礎研究の三つのグループに分かれて研究に取り組んだ。
結果と考察
疫学調査研究で実施した平成18年度の新規診断症例における薬剤耐性調査の結果、薬剤耐性検出頻度は全体で6.3%、薬剤クラス別に見るとヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)耐性は4.1%、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)耐性変異0.8%、プロテアーゼ阻害剤(PI)耐性変異1.5%であった。参加施設間の検査精度を評価する外部精度管理を実施した結果、平成18年度は正答率が100%であった。治療最適化研究で立ち上げている血中濃度ホームページの平成18年度までのアクセス件数は3690件、パスワード取得者132名、そして測定数は735検体を達成した。平成18年度からはefavirenzの血中濃度に影響するとされるCYP2B6遺伝子検査の受付も開始した。非侵襲的な手法による血中濃度の評価方法として唾液中の薬剤濃度の測定を試みた。その結果唾液20 µLよりLC-MS/MSを用いてAZT、3TC、efavirenz、atazanavir、lopinavirの定量に成功した。新たに承認されたプロテアーゼ阻害剤atazanavirの日本人における血中薬物動態の解析を行った。その結果、日本人におけるatazanavirトラフ値は欧米人と差が無いことが確認された。薬剤耐性基礎研究では、分担研究者は個々に薬剤耐性の克服に繋がる基礎研究に取り組み多数の成果を挙げた。
結論
平成18年の新規HIV/AIDS診断症例の調査では薬剤耐性症例の頻度はまだ低いレベルに留まっており、高度耐性症例も認められなかった。過去3年のデーターと比較しても増減は明確ではなく、その判断には今後の継続的な調査が必要と思われる。治療薬剤血中濃度測定検査は利用者が増加しており、治療現場での検査の実施が定着しつつある。薬剤耐性HIVの基礎研究において多くの成果を挙げた。
公開日・更新日
公開日
2007-04-13
更新日
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