広域における食品由来感染症を迅速に探知するために必要な情報に関する研究

文献情報

文献番号
200628045A
報告書区分
総括
研究課題名
広域における食品由来感染症を迅速に探知するために必要な情報に関する研究
課題番号
H18-新興-一般-016
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
寺嶋 淳(国立感染症研究所細菌第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 長野 秀樹(北海道立衛生研究所)
  • 甲斐 明美(東京都立衛生研究所微生物部)
  • 松本 昌門(愛知県衛生研究所)
  • 勢戸 和子(大阪府立公衆衛生研究所感染症部)
  • 田中 博(愛媛県立衛生研究所)
  • 堀川 和美(福岡県保健環境研究所)
  • 渡辺 治雄(国立感染症研究所細菌第一部)
  • 武田 直和(国立感染症研究所ウイルス二部)
  • 染谷 雄一(国立感染症研究所ウイルス二部)
  • 田中 智之(堺市衛生研究所)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院水道工学部施設工学室)
  • 八木田 健司(国立感染症研究所寄生動物部)
  • 黒木 俊郎(神奈川県立衛生研究所微生物部)
  • 片山 浩之(東京大学大学院工学系研究科)
  • 森田 重光(麻布大学環境保健学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
広域における食品由来感染症の被害拡大を未然に防ぐためには、感染源であるウイルス・細菌等の病原体を迅速に検出しその解析情報を共有することが重要である。本研究では、病原体の検出法の改良・開発と共に、解析技術の精度管理を行い、病原体の解析情報に基づく互換性のあるデータベースを構築しながら、分離株の解析情報を共有・還元して食品由来感染症の制御に役立つシステム構築を目的とする。
研究方法
1)食品由来細菌感染症の起因菌に対しては、標準化PFGE法、IS-printing法及びMultilocus variable-number tandem repeat analysis (MLVA)法による解析を行い、解析技術の精度管理を行う。各種病原体のPFGE解析データベースの構築を継続する。
2)ノロウイルス(NoV) 中空粒子に対するポリクローナル抗体結合磁気ビーズを用いて、食品からのノロウイルスの検出方法の開発及び迅速診断方法としてイムノクロマトキットの開発を行う。カリシウイルスの解析情報共有化にむけて日本版カリシネットの試行版を作成する。
結果と考察
標準化PFGEのデータベース構築が進む一方で、IS-printing法は、容易な操作法と短時間での結果判定などの利点があるが、プロトコール標準化が今後の課題と考えられた。MLVAではPFGEに勝る識別能がある一方で、不安定な遺伝子座があることから、遺伝子座の選択に関して検討が必要である。NoVの検査法及び診断法に関しては、NoV中空粒子に対する抗体を利用して、磁気ビーズによる食品からのNoVの検出法の開発を行った。本法のウイルス濃縮効率及び特異性は高く、有望な検出法であると考えられた。また迅速診断用にイムノクロマトキットの開発を行い、実用化に向けて非特異的反応を抑制する必要性を見いだした。カリシウイルス感染症の発生状況と解析情報の共有化に向けて、日本版カリシネットのドラフト作成を行った。
結論
広域における食品由来感染症を迅速に探知するためには、病原体の検出方法の改良・開発と共に、解析情報の共有化に向けたネットワーク化が必要である。細菌解析ネットワークとしてパルスネットが稼動しつつあり、日本版カリシネットの試行版作成も行った。一方、食品からのNoV検出法として磁気ビーズを利用した方法と診断方法の一つとして抗体利用によるイムノクロマトキットの開発を行った。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-