食品由来の2類感染症のリスクアセスメントモデル構築に関する研究

文献情報

文献番号
200628029A
報告書区分
総括
研究課題名
食品由来の2類感染症のリスクアセスメントモデル構築に関する研究
課題番号
H17-新興-一般-029
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂貴(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所)
  • 泉谷秀昌(国立感染症研究所)
  • 牧野壮一(帯広畜産大学)
  • 相楽裕子(横浜市民病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
旧2類感染症に分類されている赤痢やコレラ、腸チフスやパラチフスAを対象にそれらの感染源としての食品群を特定し、食品によるこれらの感染症発生防止対策を確立する基礎とする。
研究方法
(1)2類感染症発生状況をデータベースにより解析した。
(2)九州・山口地区での国内発生事例の積極調査を行った。
(3)食材の検査を行った。
(4)赤痢菌の分離法の改良を行った。また、赤痢菌のVBNC(viable but not culturable)化について検討した。
(5)コレラ菌の通知法の改良を行った。MultiplexリアルタイムPCR法を用い少数の汚染菌数を定量的に把握できる系を確立した。さらに、海外渡航者由来のコレラ菌分離株を対象に、パルスフィールドゲル電気泳動法による解析を行った。
結果と考察
(1)2006年腸チフス患者62名(推定国内感染10名)、パラチフス患者25名(同1名)、コレラ患者39名(同8名)で、赤痢患者は488名(同105名)であった。昨年までとほぼ同様な傾向であった。原因食品はほとんどが不明である。また、2007年1月から3月15日までの報告数は、腸チフス6名(推定国内感染2名)、パラチフス5名(同1名)、コレラ3名(同1名)及び赤痢102名(同13名)であった。
2)事例数は少ないが、将来、我が国における疫学調査の標準調査票を作成するための検討を行った。疫学調査の重要性を訴える必要がうかがえた。
3)2類感染症の原因物質(細菌)と性状がよく似ている菌が頻繁に分離されている。2類感染症が常在している地域からの輸入食品に関しての監視体制を構築する必要があると思われる。
(3)1)PCR法の内部標準に関する検討を行い、より精度の高い反応系を確立した。また、コレラ菌の食品からの培養に際する至適条件に関する知見を得た。加えて、MultiplexリアルタイムPCR法を構築し、少数の汚染菌数を定量的に把握できる検出系として、その有用性を示した。
2)海外渡航者由来のV. cholerae O1株は1株を除き、NAGビブリオ株とは異なるクラスターを形成し、また、NAGビブリオはそれぞれの血清型でクラスターを形成した。PFGEによる解析が今後のコレラ患者の疫学解析において有用であることが示唆された。
結論
国内感染の原因食品は魚介類や水が疑われているが、解明出来ていない。
コレラや赤痢の検査法は改善された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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