高病原性鳥インフルエンザの疫学臨床研究

文献情報

文献番号
200628020A
報告書区分
総括
研究課題名
高病原性鳥インフルエンザの疫学臨床研究
課題番号
H17-新興-一般-020
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 宏一郎(国立国際医療センター国際疾病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 川名 明彦(国立国際医療センター国際疾病センター)
  • 加藤 康幸(国立国際医療センター国際疾病センター)
  • 岡 輝明(公立学校共済組合関東中央病院病理科)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所感染病理部)
  • 慶長 直人(国立国際医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近い将来危惧される高病原性鳥インフルエンザ(鳥インフルエンザ)及び新興インフルエンザ等の新興感染症発生の事態に備えることを目的として、ベトナム及びアジア諸国の医療スタッフと協力した疫学臨床研究を中心に、新興呼吸器感染症に対応出来る専門家の人材養成に関する研究を実施、高病原性鳥インフルエンザ及び新興感染症に対する予防・治療・感染の封じ込め等への具体的方法を探究する。
研究方法
1.遠隔診断支援システム(e-medicine)の構築とその有効
2.鳥インフルエンザの病理・免疫組織化学的研究に関する研究
3.鳥インフルエンザ患者等の解剖方法の構築
4.鳥インフルエンザ等の臨床に関わる専門家養成プログラムの開発
5.鳥インフルエンザの重症化抑制におけるoseltamivirの疫学臨床研究
6.病院感染対策に関する研究
7.肺病変からみた重症化機構の研究
8.ベトナム南部におけるヒト鳥インフルエンザ症例の臨床疫学調査
結果と考察
TV会議時に病理画像、X線・CT像、患者データなどをリアルタイムに共有し相互交換的な会議が可能なe-medicineを構築、日本とベトナムの医療機関に設置、両国間での医学会議やコンサルテーション、意見交換の場と機会を広げた。これは将来、他のアジアの地域へと広げ、アジア感染症ネットワークとしてアジアの感染症対策の一助とすることを計画している。病理研究では、ベトナムのH5N1感染解剖例を入手し、組織学的には種々の程度のDADがみられ、A型インフルエンザウイルス抗原(NP抗原)は肺胞領域を主とし、細気管支の一部にも認められた。気管支細気管支病変が中心となる通常のヒトインフルエンザと異なり、病変の主座は肺胞領域であることがあきからとなった。専門家養成プログラムの開発では、感染症指定機関間の情報交換の場として, 首都圏感染症指定医療機関研究会、輸入感染症講習会を開催した。また、ホーチミン市熱帯病病院の協力で, 短期国外研修プログラムを作成、日本からの医師研修を始動した。高病原性鳥インフルエンザA/H5N1の疾患を封じ込める為の感染対策マニュアルを作成、HP上で公開した。本マニュアルは厚生労働省のガイドライン作成の資料として貢献した。
結論
本研究は、将来日本で発生の可能性のある、ヒト鳥インフルエンザや新興感染症に対して、疫学・発症病態・診断・治療の総合的研究であり、e-medicineによる情報の迅速な収集体制の確立と専門家の養成を付加する。本研究が我が国のパンデミックへの準備に大きく貢献するものと確信する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
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