ウエストナイルウイルス侵入に備えての診断、予防対策への基盤的研究

文献情報

文献番号
200628018A
報告書区分
総括
研究課題名
ウエストナイルウイルス侵入に備えての診断、予防対策への基盤的研究
課題番号
H17-新興-一般-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 小島 朝人(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 小林 睦生(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
  • 佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 森田 公一(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 森 康子(医薬基盤研究所 基礎研究部)
  • 前田 秋彦(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 滝澤 剛則(富山県衛生研究所 ウイルス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
107,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界的にウエストナイル熱の流行は本年度も継続して起こっている。仮に日本にウエストナイルウイルスが侵入した場合には急速に各地に侵淫することが予想される。従って、ウエストナイルウイルス感染対策としてウイルス、ヒト、蚊、トリ等多面的な研究が要求される。ウエストナイルウイルス対策のための総合的科学基盤の確立を目的とした。
研究方法
研究は大きく疫学研究、検査・診断研究(予防・治療法研究、蚊検査法研究、鳥検査法研究)、予防・治療法研究(ワクチン開発基盤研究、病原性治療法基礎研究)の3項目に分けて遂行された。主任研究者、分担研究者計12名が遂行した。
結果と考察
疫学研究においては(1)国民向け情報をホームページに掲載した。(2)予防対策用CD-R説明書およびQ&A冊子を作成し配布した。(3)国民の理解状況を明らかにした。検査・診断研究においては、(1)病原体・血清検査法を改良し、国内各施設に技術移転した。(2)疑い患者検体を検査したが、陰性であった。(3) 国内における媒介蚊の分布域の拡大状況、定点での消長を明らかにした。(4) 媒介蚊からのウイルス分離法、遺伝子検出法を確立した。検査した蚊はすべて陰性であった。(5)鳥類からの遺伝子、抗体検出法を確立した。国内の鳥類における抗体保有検査はすべて陰性であった。予防・治療法研究においては、(1)組織培養細胞由来不活性化ワクチンの試験的作製を行い、動物で防御能を示した。安全性試験により安全性を確認した。(2)日本脳炎ウイルスとのキメラワクチンを候補として作製した。(3)サブユニットワクチン候補として中空粒子の中和抗体誘導を明らかにした。(4)ポリグルタミンサ酸のアルミアジュバント効果を確認した。(5)病態解明のため動物モデルを作製した。(6)脳内の細胞性免疫解析法を確立した。以上よりウエストナイルウイルスに対する総合的な厚生労働行政施策を策定するため科学的基盤および情報基盤を進展させた。
結論
ウエストナイルウイルス侵入に備えての基盤的研究として、疫学研究、検査・診断研究(予防・治療法研究、蚊検査法研究、鳥検査法研究)、予防・治療法研究(ワクチン開発基盤研究、病原性治療法基礎研究)の3項目に分けて研究を遂行し、ウエストナイルウイルス対策のための総合的科学基盤を進展させた。わが国における総合的なウエストナイルウイルス対策の推進が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2007-05-07
更新日
-