ウイルスベクターを応用したワクチン開発迅速化のための基盤的技術開発の研究

文献情報

文献番号
200628016A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルスベクターを応用したワクチン開発迅速化のための基盤的技術開発の研究
課題番号
H16-新興-一般-045
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森本 金次郎(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 井上 直樹(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 西園 晃(大分大学医学部微生物教室)
  • 錫谷 達夫(福島医科大学ウイルス学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ウイルスベクターとして使用可能な狂犬病ウイルス・センダイウイルスを用い、外来ウイルス抗原遺伝子を組込んだ組換えウイルスを作製、有用なワクチンのないウイルスに対する新たなワクチンの開発やベクターの改良を目指す。ワクチン開発に不可欠な動物実験モデルの開発を行い、感染の診断評価法、ワクチン評価法、抗体製剤産生等の技術への応用も目指す。ウイルスベクターを利用することにより、有効な免疫原性を得られないワクチンや本来のウイルスワクチンでは困難である問題を克服するための基盤的な技術の開発を目指す。
研究方法
 組換えウイルス作製には狂犬病ウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルスのcDNAによるウイルスベクター発現系を用いた。デングウイルスを用いたスナネズミ感染実験、モルモットサイトメガロウイルス(CMV)を用いたモルモット感染実験、サル痘ウイルスを用いたカニクイザル感染実験を行った。ミクログリア細胞や樹状細胞を用いてウイルス感染初期過程における、宿主細胞の反応を細胞の遺伝子発現の変動をRT-PCR法、リアルタイムPCR法、ELIZA法、ウエスタンブロット法により解析した。
(倫理面への配慮)
 動物実験は各研究施設の動物実験委員会による審査を受け承認を得た後行われた。ヒト検体を用いる研究は各研究機関の審査を受け倫理委員会の承認を得た後行われた。
結果と考察
 狂犬病ウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルスにおいて、ベクターの高発現と安全性の改良を目指す研究を行なった。日本脳炎ウイルス、デングウイルスに対しての組換えウイルスの作製を開始した。ワクチン開発およびその評価のために不可欠な感染動物モデルをデングウイルス、CMV、痘そうウイルスにおいて検討した。得られた結果をより有効なワクチン開発に導くことを目指して、ウイルス感染やdsRNAによる宿主の自然免疫応答を中心に解析した。
結論
 狂犬病ウイルス、センダイウイルスおよび麻疹ウイルスにおいて遺伝子発現ベクターの改良を行なった。デングウイルス、CMV、痘そうウイルスの感染動物モデルを確立した。ウイルス感染あるいはdsRNAに対する細胞の初期応答をミクログリア細胞や樹状細胞を用いて解析した。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200628016B
報告書区分
総合
研究課題名
ウイルスベクターを応用したワクチン開発迅速化のための基盤的技術開発の研究
課題番号
H16-新興-一般-045
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
森本 金次郎(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所ウイルス第三部 )
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所ウイルス第一部 )
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所ウイルス第一部 )
  • 西條 政幸(国立感染症研究所ウイルス第一部 )
  • 井上 直樹(国立感染症研究所ウイルス第一部 )
  • 西園 晃(大分大学医学部微生物教室)
  • 錫谷 達夫(福島医科大学ウイルス学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ウイルスベクターとして使用可能な狂犬病ウイルス・センダイウイルスを用い、外来ウイルス抗原遺伝子を組込んだ組換えウイルスを作製、有用なワクチンのないウイルスに対する新たなワクチンの開発やベクターの改良を目指す。ワクチン開発に不可欠な動物実験モデルの開発を行い、感染の診断評価法、ワクチン評価法、抗体製剤産生等の技術への応用も目指す。ウイルスベクターを利用することにより、有効な免疫原性を得られないワクチンや本来のウイルスワクチンでは困難である問題を克服するための基盤的な技術の開発を目指す。
研究方法
 組換えウイルス作製には狂犬病ウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルスのcDNAによるウイルスベクター発現系を用いた。デングウイルスを用いたスナネズミ感染実験、モルモットサイトメガロウイルス(CMV)を用いたモルモット感染実験、サル痘ウイルスを用いたカニクイザル感染実験を行った。GFP組換えモルモットCMV、GFP組換え狂犬病ウイルスを作製した。ウイルス感染初期過程における、宿主細胞の反応を細胞の遺伝子発現の変動をRT-PCR法、リアルタイムPCR法、ウエスタンブロット法により解析した。
(倫理面への配慮)
 動物実験は各研究施設の動物実験委員会による審査を受け承認を得た後行われた。ヒト検体を用いる研究は各研究機関の審査を受け倫理委員会の承認を得た後行われた。
結果と考察
 狂犬病ウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルスにおいて、ベクターの高発現と安全性の改良を目指す研究を行なった。日本脳炎ウイルス、デングウイルスに対しての組換えウイルスの作製を開始した。ワクチン開発およびその評価のために不可欠な感染動物モデルをデングウイルス、CMV、痘そうウイルスにおいて検討した。得られた結果をより有効なワクチン開発に導くことを目指して、ウイルス感染やdsRNAによる宿主の自然免疫応答を中心に解析した。抗狂犬病ウイルス中和抗体IgG遺伝子の構築を行った。
結論
 狂犬病ウイルス、センダイウイルスおよび麻疹ウイルスにおいて遺伝子発現ベクターの改良を行なった。デングウイルス、CMV、痘そうウイルスの感染動物モデルを確立した。ウイルス感染あるいはdsRNAに対する細胞の初期応答を解析した。狂犬病ウイルスに対する中和抗体価を有するヒト型IgG抗体遺伝子の構築を行った。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200628016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 狂犬病ウイルス、センダイウイルスおよび麻疹ウイルスにおいて遺伝子発現ベクターの改良を行った。デングウイルス、サイトメガロウイルス、痘そうウイルスの感染動物モデルを確立した。ウイルス感染あるいはdsRNAに対する細胞の初期応答を解析した。今後、感染症の診断や評価、ワクチンの評価に役立つと考える。狂犬病ウイルスに対する中和抗体価を有するヒト型IgG抗体遺伝子の構築を行った。今後、抗体製剤としての利用を目指す。
臨床的観点からの成果
 乳幼児における下気道炎による急性呼吸不全の病因の一つであるRespiratory Syncytial virus (RSV)感染症において、その重症度とプロスタグランジンI2(PGI2)合成酵素の遺伝子多型の関連性を調べ、体内でのPGI2の産生量が多いほどRSV感染症が軽症化することが示された。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
91件
その他論文(和文)
19件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
94件
学会発表(国際学会等)
45件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nakamichi, K., Inoue, S., Takasaki, T. et al.
Rabies virus stimulates nitric oxide production and CXC chemokine ligand 10 expression in macrophages through activation of extracellular signal-regulated kinases 1 and 2.
Journal of Virology , 78 , 9376-9388  (2004)
原著論文2
Shigeru Tajima, Tomohiko Takasaki, Shigeo Matsuno et al.
Genetic characterization of Yokose virus, a flavivirus isolated from the bat in Japan.
Virology , 332 , 38-44  (2005)
原著論文3
Khawplod, P., Inoue, K., Shoji, Y. et al.
A novel rapid fluorescent focus inhibition test (RFFIT) of rabies virus using a recombinant rabies virus visualizing a green fluorescent protein.
Journal of Virological Methods , 125 , 35-40  (2005)
原著論文4
Nakamichi K, Saiki M, Sawada M, et al.
Double-stranded RNA stimulates chemokine expression in microglia through vacuolar pH-dependent activation of intracellular signaling pathways.
Journal of Neurochemistry , 95 , 273-283  (2005)
原著論文5
Morimoto, K., Shoji, Y., Inoue, S.
Characterization of P gene-deficient rabies virus. The propagation, pathogenicity and immunogenicity.
Virus Research , 111 , 61-67  (2005)
原著論文6
Nakamichi K, Saiki M, Sawada M, et al.
Rabies virus-induced activation of mitogen-activated protein kinase and NF-kappaB signaling pathways regulates expression of CXC and CC chemokine ligands in microglia.
Journal of Virology , 79 , 11801-11812  (2005)
原著論文7
Ito-Takayama, M., Inoue, K., Shoji, Y. et al.
A highly attenuated rabies virus HEP-Flury strain reverts to virulent by single amino acid substitution to atginine at position 333 in glycoprotein.
Virus Research , 119 , 208-215  (2006)
原著論文8
Khawplod, P., Shoji, Y., Ubol, S. et al.
Genetic analysis of dog rabies viruses circulating in Bangkok.
Infection, Genetics and Evolution , 6 , 235-240  (2006)
原著論文9
Kato, A., K. Kiyotani, T. Kubota, T. et al.
Importance of anti-interferon capacity of the Sendai virus C protein for pathogenicity in mice.
Journal of Virology , 81 , 3264-3271  (2007)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-