ヒト型抗SARS中和抗体の開発研究

文献情報

文献番号
200628014A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト型抗SARS中和抗体の開発研究
課題番号
H16-新興-一般-043
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
切替 照雄(国立国際医療センター研究所感染症制御研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 石田  功(キリンビール医薬カンパニー)
  • 七條 茂樹(久留米大学医学部)
  • 笹月 健彦(国立国際医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、SARSウイルス感染予防、感染後の発症予防、発症後の重症化予防と治療法確立を目的とし、ヒト型ウシを用いたヒト型中和抗体の開発を目指す。SARSウイルスゲノムにコードされた15種のタンパクのペプチドを合成し、SARS患者血清と反応する多数の抗原エピトープを同定する。これらエピトープを含むオリゴペプチドをヒト型マウスに免疫し、それらに対する多数のヒト型モノクローナル抗体を作成し、SARSウイルス中和抗体を有する抗体を同定する。
これらの中から、SARSウイルス感染サルなど実験モデル動物を用いて感染予防、発症予防に寄与する抗体を決定する。このようにして決定したSARSウイルス抗原を、ヒト型ウシに免疫することにより大量のヒト型中和抗体を作成し実用化を目指す。
研究方法
各種ペプチドに対する抗体は、Luminexを用いたflowmetryで測定した。各組換え蛋白質は大量発現が容易な大腸菌のシステムを選択した。抗体中和活性試験の確立は、SARS-CoVがVero E6細胞に感染し、細胞変性効果を起こすことを利用して行った。
中国との研究調整:笹月は、中国側の研究者と共同研究の可能性を話し合った。これらの話し合いを基に、具体的なサルSARSウイルス感染実験に関する共同研究契約を締結した。
結果と考察
spike蛋白質、membrane蛋白質、およびnucleocapsid蛋白質、の3つの蛋白質を抗原候補として選択した。感染後6ヶ月のベトナムSARS患者78名から採取した血清中のIgGとの反応性を検証して、抗原ペプチド候補を絞りこんだ。これらのペプチドや組み換え蛋白質でヒト抗体産生マウスなどを免疫し、抗体を得た。確立した中和試験法により得られた抗体のSARS-CoV中和活性を確認した。中国医学科学院実験動物研究所共同研究としてSARSサル感染実験を開始できた。
結論
SARSウイルスの感染防御、感染後のSARS発症予防、さらにSARS発症後の重症化予防と治療を目指した、ヒト型ウシを用いたSARSウイルス中和ヒト型抗体の開発研究において、抗原ペプチドの候補選定、抗原ペプチドのデザイン、組換え蛋白質の調整、抗体中和活性試験の確立、ヒト中和抗体の作製成功、中国でのサル感染実験開始、の各研究項目での大きな進展があった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200628014B
報告書区分
総合
研究課題名
ヒト型抗SARS中和抗体の開発研究
課題番号
H16-新興-一般-043
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
切替 照雄(国立国際医療センター研究所感染症制御研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第三部)
  • 石田  功(キリンビール医薬カンパニー)
  • 七條 茂樹(久留米大学医学部)
  • 笹月 健彦(国立国際医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては、SARSウイルス感染予防、感染後の発症予防、発症後の重症化予防と治療法確立を目的とし、ヒト型ウシを用いたヒト型中和抗体の開発を目指す。SARSウイルスゲノムにコードされた15種のタンパクのペプチドを合成し、SARS患者血清と反応する多数の抗原エピトープを同定する。これらエピトープを含むオリゴペプチドをヒト型マウスに免疫し、それらに対する多数のヒト型モノクローナル抗体を作成し、SARSウイルス中和抗体を有する抗体を同定する。
これらの中から、SARSウイルス感染サルなど実験モデル動物を用いて感染予防、発症予防に寄与する抗体を決定する。このようにして決定したSARSウイルス抗原を、ヒト型ウシに免疫することにより大量のヒト型中和抗体を作成し実用化を目指す。
研究方法
各種ペプチドに対する抗体は、Luminexを用いたflowmetryで測定した。各組換え蛋白質は大量発現が容易な大腸菌のシステムを選択した。抗体中和活性試験の確立は、SARS-CoVがVero E6細胞に感染し、細胞変性効果を起こすことを利用して行った。
中国との研究調整:笹月は、中国側の研究者と共同研究の可能性を話し合った。これらの話し合いを基に、具体的なサルSARSウイルス感染実験に関する共同研究契約を締結した。
結果と考察
spike蛋白質、membrane蛋白質、およびnucleocapsid蛋白質、の3つの蛋白質を抗原候補として選択した。感染後6ヶ月のベトナムSARS患者78名から採取した血清中のIgGとの反応性を検証して、抗原ペプチド候補を絞りこんだ。これらのペプチドや組み換え蛋白質でヒト抗体産生マウスなどを免疫し、抗体を得た。確立した中和試験法により得られた抗体のSARS-CoV中和活性を確認した。中国医学科学院実験動物研究所共同研究としてSARSサル感染実験を開始できた。
結論
SARSウイルスの感染防御、感染後のSARS発症予防、さらにSARS発症後の重症化予防と治療を目指した、ヒト型ウシを用いたSARSウイルス中和ヒト型抗体の開発研究において、抗原ペプチドの候補選定、抗原ペプチドのデザイン、組換え蛋白質の調整、抗体中和活性試験の確立、ヒト中和抗体の作製成功、中国でのサル感染実験開始、の各研究項目での大きな進展があった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200628014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
SARSウイルスの感染防御、感染後のSARS発症予防、さらにSARS発症後の重症化予防と治療を目指した、ヒトウシを用いたSARSウイルス中和ヒト型抗体の開発研究において、抗原ペプチドの候補選定、抗原ペプチドのデザイン、組換え蛋白質の調整、抗体中和活性試験の確立、マウスでのヒト中和抗体の作製成功、野生型ウシでの予備的試験による中和抗体の成功、および作製中国でのサル感染実験開始、の各研究項目での大きな進展があった。
臨床的観点からの成果
重症急性呼吸器症候群(SARS)は、その致命率の高さ(約10%)、superspreaderの存在などから、人間活動の国際化と相まって、一地方病としてではなく、Ⅰ類の国際感染症として各地域・国の経済にも多大の影響を及ぼした。
 医師・看護師、臨床検査技師などは常に感染の危険にさらされており、いったん患者が発生すると、これら、医療従事者のみならず、一般国民の感染予防・発症予防・重症化予防と治療法の確立は国際的な急務であった。
ガイドライン等の開発
本計画に直接含まれるものではないが、切替等はベトナムでのSARS流行時に渡越し、ハノイ市を中心にSARS封じ込めのための国際貢献を行った。この経験を元にSARS流行時の対応法の策定に貢献した。
その他行政的観点からの成果
本計画に直接含まれるものではないが、切替等はベトナムでのSARS流行時に渡越し、ハノイ市を中心にSARS封じ込めのための国際貢献を行った。また中国にてSARS発生の第1症例の特定を行った。
その他のインパクト
2007年4月に日経新聞よりSARS中和抗体開発の取材を受ける予定。

発表件数

原著論文(和文)
1件
SARSコロナウイルス中和活性を持ったヒトポリクローナル抗体の開発の現状に関する総説
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
SARS-CoVの宿主因子との相互作用およびウイルス粒子形成機構に関する発表
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
三好-秋山 徹、切替照雄、石田  功
SARSコロナウイルス中和ヒト抗体開発の現状と将来
化学療法の領域 , 22 (12) , 47-53  (2006)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-