国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握及び今後の患者症例報告収集と検索システムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200628007A
報告書区分
総括
研究課題名
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握及び今後の患者症例報告収集と検索システムの開発に関する研究
課題番号
H16-新興-一般-036
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高山 直秀(東京都立駒込病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 幸憲(厚生労働省神戸検疫所)
  • 道永 麻里(東京都医師会)
  • 川島 龍一(神戸市医師会)
  • 大西 健児(東京都立墨東病院感染症科)
  • 丸山 総一(日本大学生物資源科学部獣医公衆衛生学)
  • 福士 秀人(岐阜大学応用生物科学部獣医微生物学)
  • 赤尾 信明(東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物由来感染症の実態把握が不十分であり,動物由来感染症の診断に必要な検査体制も確立されていないことから,国内で発表された症例報告を収集・分析して日本における動物由来感染症の実態を明らかにするとともに,動物由来感染症を診断する検査法として濾紙採血検体を用いた抗体検査の有用性を検討した。また,分析結果及び文献を収録したCD-ROMを作製・配布して得られた結果を臨床及び行政の現場に還元することを目的とした。
研究方法
文献データベースを利用して,1995年1月から2004年11月の間に公表された動物由来感染症の症例報告を,39疾患をキーワードとして検索・収集し,総論や外国の症例報告などを除外し,症例の分析を行った。濾紙採血検体を用いた抗体検査の有用性を,東京都医師会員及び神戸市医師会員の協力を得てトキソカラ症,トキソプラズマ症,猫ひっかき病,オウム病について検討した。
結果と考察
文献検索により抽出された24疾患の502件の症例について,年齢,性別,主要症状,診断,治療,感染経路などを分析した結果及び,抽出された症例の抄録と著作権者の承認が得られた文献の全文をPDFファイルに変換してCD-ROMに収録した。完成したCD-ROMは医師会,獣医師会,各自治体の関係部署に配布した。トキソカラ症,トキソプラズマ症,猫ひっかき病,オウム病について検討した。トキソカラ症に関しては医療現場から62検体が送付され,うち1例が陽性,3例が擬陽性であった。トキソプラズマ症では送付された96検体中6例が陽性,猫ひっかき病では81検体中7例が陽性,オウム病では48検体中5例が陽性であった。トキソプラズマ症,猫ひっかき病において抗体陽性者は女性に多かった。
結論
文献検索により抽出した症例報告から動物由来感染症の発生動向を知るという手法には,一部の症例しか把握できない欠陥はあるが,感染経路,診断法などに関する情報も入手することができ,得られた情報を診療現場に還元すれば動物由来感染症診療や対策立案上の助けとなる。また,濾紙採血検体による抗体検査を継続することによって,わが国おける動物由来感染症の発生動向を把握する上で有用な情報を得られ,本検査法が普及すれば動物由来感染症の診断が容易になり,早期診断・治療が可能になるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200628007B
報告書区分
総合
研究課題名
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握及び今後の患者症例報告収集と検索システムの開発に関する研究
課題番号
H16-新興-一般-036
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高山 直秀(東京都立駒込病院小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 内田 幸憲(厚生労働省神戸検疫所)
  • 唐澤 祥人(東京都医師会)
  • 道永 麻里(東京都医師会)
  • 川島 龍一(神戸市医師会)
  • 大西 健児(東京都立墨東病院感染症科)
  • 丸山 総一(日本大学生物資源科学部)
  • 福士 秀人(岐阜大学応用生物科学部)
  • 赤尾 信昭(東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国において動物由来感染症は医学教育と獣医学教育の狭間にあって医師と獣医師の連携が不十分で,動物由来感染症の診療および診断に必要な検査体制の確立が立ち後れているばかりか,わが国における動物由来感染症の発生状況や実態の把握も不十分である。本研究班は日本における動物由来感染症の実態を明らかにし,今後の動物由来感染症の診療に資するために,調査結果を臨床及び行政現場に還元し,さらに動物由来感染症に必要な検査法の開発を行うことを目的とした。
研究方法
文献データベースを利用して,1995年1月から2004年11月の間に公表された動物由来感染症の症例報告を,39疾患をキーワードとして検索した。抽出された文献から総論や外国からの症例報告などを除外し,症例の年齢,性別,主訴,診断,治療,予後,感染経路,発生地などを分析した。濾紙採血検体を使用したトキソカラ抗体,猫ひっかき病抗体,トキソプラズマ抗体,オウム病抗体の測定法を研究・開発して,診療現場で試用して,その有用性を検討した。
結果と考察
2004-2005年度に,24疾患の症例報告702例を収集して症例の分析を行った。2006年度に,症例報告の抄録と著作権者の承認が得られた文献の全文をPDFファイルに変換して症例の分析結果とともにCD-ROMに収録した。完成したCD-ROMは動物由来感染症診療や対策立案に資するため,医師会,獣医師会,各自治体の関係部署に配布した。2005と2006年度には濾紙採血検体で上記4疾患の抗体を測定した。医療現場から送付された検体数は,発生状況を把握できるほど多くはなかったが,トキソプラズマ症,猫ひっかき病において抗体陽性者は女性に多いことが判明した。
結論
文献検索により抽出した症例報告から動物由来感染症の発生動向を知るという手法には,一部の症例しか把握できない欠陥はあるが,感染経路,診断法などに関する情報も入手でき,得られた情報を診療現場に還元すれば動物由来感染症診療や対策立案上の助けとなる。また,濾紙採血検体による抗体検査は,これを継続すれば,わが国おける動物由来感染症の発生動向を把握する上で有用な情報を得られ,また本検査法が普及することによって動物由来感染症の診断が容易になり,早期診断・治療が可能になるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200628007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
文献検索により,わが国で報告された動物由来感染症の症例を抽出・収集し,これらの症例を分析することにより,これまで十分に明らかにされていなかった,わが国における動物由来感染症の発生動向を把握することができた。また,これまで開発・普及がなされていなかった動物由来感染症診断に必要な簡便な検査法を開発し,濾紙採血検体での検査を可能にし,診療現場でその有用性を検討した。
臨床的観点からの成果
症例報告の抄録と著作権者の承認が得られた文献の全文をPDFファイルに変換して,文献検索で得られた症例の分析結果とともにCD-ROMに収録し,完成したCD-ROMを医師会,獣医師会,各自治体の関係部署に配布したので,動物由来感染症診療に有用な情報を提供できた。また,濾紙採血検体でトキソカラ抗体,猫ひっかき病抗体,トキソプラズマ抗体,オウム病抗体を測定した。送付された検体数は,発生状況を把握できるほど多くはなかったが,医療現場に動物由来感染症の簡便な検査法を導入すできた点で意義があった。
ガイドライン等の開発
ガイドラインは作成していない。
その他行政的観点からの成果
これまで明らかにされていなかった国内における動物由来感染症症例の収集・分析の結果をCD-ROMに収録して都道府県に配布したので,各地における動物由来感染症対策立案に有用な資料を提供できた。
その他のインパクト
研究成果を感染症学会東日本地方会で,また東京都医師会及び人獣共通感染症勉強会において発表した。

発表件数

原著論文(和文)
11件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
高山直秀
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握(1)
東獣ジャーナル ,  (483) , 24-29  (2006)
原著論文2
高山直秀
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握
東獣ジャーナル ,  (484) , 16-23  (2006)
原著論文3
高山直秀
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握
東獣ジャーナル ,  (485) , 24-30  (2006)
原著論文4
高山直秀
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握
東獣ジャーナル ,  (486) , 16-20  (2007)
原著論文5
高山直秀
国内の患者症例報告に基づく動物由来感染症の実態把握
東獣ジャーナル ,  (487) , 18-24  (2007)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-