動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200628004A
報告書区分
総括
研究課題名
動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究
課題番号
H16-新興-一般-033
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 今岡 浩一(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 渡辺 治雄(国立感染症研究所 副所長)
  • 岩崎 琢也(長崎大学 熱帯医学研究所宿主病態解析部門)
  • 喜田 宏(北海道大学大学 院獣医学研究科)
  • 藤田 修(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 堀田 明豊(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いかなる動物におけるいかなる動物由来感染症をサーベイランスの対象とするかを科学的に明らかにすること、サーベイランスを実施するために不可欠な血清診断法、病原診断法の整備状況の把握ならびに開発及びサーベイランスの手法そのものの開発、サーベイランスのモデル構築を目的とする。
研究方法
病原体あるいは抗体の検出は個々の報告書に記載した方法による。意識調査等も各報告書に記載した。
結果と考察
動物における病原体保有状況のモニタリング等に必要な診断技術の開発を継続するとともに、数種の感染症についてはパイロットサーベイランスを継続した。野兎病菌のA型とB型の簡易鑑別法、詳細な株鑑別法の開発、クラミジアreal-time PCRの有用性確認、リケッチア血清学的診断法の問題点の抽出およびその改良を行った。鳥インフルエンザウイルス感染とワクチン接種鶏をNS1に対する抗体の有無で検出する系の有用性を国内で発生したH5N2亜型の流行において確認した。レプトスピラについてはシカ、イノシシが保有していることを、新たな地域でも確認した。動物愛護センターに引き取られたイヌでは、レプトスピラ感染確認された内。ツキノワグマで明らかな野兎病抗体保有が認められた。国内の野生ラットから鼠咬症菌分離し、その16SRNA遺伝子配列から異なる遺伝子型が存在する可能性が示唆された。ウエストナイルウイルス(WNV)に関して、死亡カラスの調査は厚生労働省の事業として継続されることとなった。また、渡り鳥における抗WNV抗体保有調査に必須な測定法の更なる改良を試みた。大日本猟友会の協力により、狩猟者における動物由来感染症に対する意識調査を実施した。また、狂犬病対策に関わる地方自治体職員の狂犬病あるいはその対策に関する意識調査を行った。
結論
昨年度に引き続き動物由来感染症対策としてのサーベイランス体制整備をすべき疾患並びに対象動物を選定する手段を検討した。また、実際のモデルを運用するために必要なネットワーク構築を試みた。

公開日・更新日

公開日
2007-03-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200628004B
報告書区分
総合
研究課題名
動物由来感染症のサーベイランス手法の開発に関する研究
課題番号
H16-新興-一般-033
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
山田 章雄(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第1部)
  • 今岡 浩一(国立感染症研究所 獣医科学部 )
  • 井上 智(国立感染症研究所 獣医科学部 )
  • 棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部 )
  • 渡辺 治雄(国立感染症研究所 副所長)
  • 岩崎 琢也(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 喜田 宏(北海道大学大学院 獣医学研究科)
  • 藤田 修(国立感染症研究所 獣医科学部 )
  • 堀田 明豊(国立感染症研究所 獣医科学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いかなる動物におけるいかなる動物由来感染症をサーベイランスの対象とするかを科学的に明らかにすること、サーベイランスを実施するために不可欠な血清診断法、病原診断法の整備状況の把握ならびに開発及びサーベイランスの手法そのものの開発、サーベイランスのモデル構築を目的とする。
研究方法
病原体あるいは抗体の検出は個々の報告書に記載した方法による。意識調査等も各報告書に記載した。
結果と考察
野兎病、Q熱、オウム病、レプトスピラ症、鼠咬症、ウエストナイル熱、鳥インフルエンザなどの病原体あるいはその抗体を野生動物で信頼性をもって、あるいは迅速に検出する方法を確立した。これらの方法を利用してイノシシ、シカ、クマ、ウサギ、ネズミなどからの病原体検出を試みたところ、野兎病についてはクマが抗体を保有していることが明らかになり、歩哨動物として利用できることが明らかになった。イノシシ、シカにはレプトスピラに感染しているものがあること、国内の野生のネズミではレプトスピラおよび鼠咬症の起因菌を効率に保有していることが明らかになった。野鳥におけるウエストナイルウイルスに対する抗体調査は日本脳炎ウイルスとの交差反応が問題ではあるが、現時点では日本への侵入は起きてないと考えられた。また野生動物との接触の多いハンターを対象とした意識調査の結果、リスクの高い行動を行う者に対する啓発が必要であることが明らかになった。
結論
動物由来感染症対策としてのサーベイランス体制整備をすべき疾患並びに対象動物を選定する手段を検討し、数種類の重要な感染症の動物における検出法を確立し、それらの方法に基づいて国内野生動物における病原体保有状況を明らかにした。また、野生動物と関わりの深い団体とのネットワーク構築を試みた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200628004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ウエストナイルウイルスの国内侵入を監視するための死亡鳥調査のシステムを構築した。野生動物における動物由来感染症のサーベイランスに欠かせない複数の病原体診断法を確立し、パイロットサーベイランスを実施した。
臨床的観点からの成果
動物由来感染症のヒトにおける臨床診断には動物との接触の有無が重要なだけではなく、場合によっては動物における病原診断も必要であることから、本研究の成果はヒトの臨床診断を容易にするという点で一定の意義を持つ。
ガイドライン等の開発
特にない。
その他行政的観点からの成果
感染症法における獣医師の届出をかす感染症の診断基準の設定あるいはガイドライン作成に科学的根拠を与えた。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Inoue S, Noguchi A, Tanabayashi K et al
Preparation of positive control DNA for molecular diagnosis of Bacillus anthracis
Japanese Journal of Infectious Diseases , 57 , 29-32  (2004)
原著論文2
Motoi Y, Sato K, Hatta H et al
Production of rabies neutralizing antibody in hen's eggs using a part of the G protein expressed in Escherichia coli
Vaccine , 23 , 3026-3032  (2005)
原著論文3
Motoi Y, Inoue S, Hatta H et al
Detection of rabies-specific antigens by egg yolk antibody (IgY) to the recombinant rabies virus proteins produced in Escherichia coli
Japanese Journal of Infectious Diseases , 58 , 115-118  (2005)
原著論文4
Fujita O, Tatsumi M, Tanabayashi K et al
Development of a real-time PCR for detection and quantification of Francisella tularensis
Japanese Journal of Infectious Diseases , 59 , 46-51  (2006)
原著論文5
Hotta A, Fujita O, Tanabayashi K et al
Preparation of monoclonal antibodies for detection and identification of Francisella tularensis
Clinical and Vaccine Immunology , 14 , 81-84  (2007)
原著論文6
Takayama-Ito M, Inoue K, Shoji Y et al
A highly attenuated rabies virus HEP-Flury strain reverts to virulent by single amino acid substitution to arginine at osition 333 in glycoprotein
Virus Research , 119 , 208-215  (2006)

公開日・更新日

公開日
2016-06-27
更新日
-