小児重症視覚障害の早期治療・リハビリテーションによる自立支援に関する研究

文献情報

文献番号
200627019A
報告書区分
総括
研究課題名
小児重症視覚障害の早期治療・リハビリテーションによる自立支援に関する研究
課題番号
H18-感覚器-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
東 範行(国立成育医療センター病院第二専門診療部眼科)
研究分担者(所属機関)
  • 不二門 尚(大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学分野)
  • 石橋 達朗(九州大学大学院機能制御医学部門構造機能学講座眼科学部門)
  • 佐藤 美保(浜松医科大学眼科学教室)
  • 篠田 啓(国立病院機構東京医療センター眼科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
視覚の感受性のピークは生後2ヵ月~3歳頃まで、この期間内に疾患を早期に治療し、弱視訓練し、視機能評価と全身症状に応じたロービジョンケアを開始することは、社会参加するために効果的である。本研究は、小児重症眼疾患において、1)従来は行われなかった未熟な段階で早期治療を開始することによる視機能発達温存の可能性の検討、2)未発達な残存視機能の早期評価法の開発、3)残存視機能の発達を含めたロービジョンケアプログラムの作成を目的とする。
研究方法
1)II型未熟児網膜症に超早期硝子体手術を行い、術後を広角度眼底カメラと視反応で検討した。2)未発達な視機能の早期評価法につき、①網膜電図による検討、② 液晶モニターによる視力計測を行った。3)ロービジョンケアの専門家とともにロービジョンケアプログラムを作成中。視力獲得の訓練法として、視標の大きさおよび視差を可変にしたゲームで視力低下の程度と達成時間を検討した。4)ロービジョンケアのための支援器具として、シースルー型ホログラムをコア技術に、ヘッドマウントタイプに改良を加え、デジタルアイパッチ装置を試作した。
結果と考察
1)従来は失明するしかなかった重症未熟児網膜症で、全例に網膜剥離の治癒を、81%で良好な視反応を得られた。盲学統計で未熟児網膜症が小児失明原因の30~40%を占めるが、患児は普通学校へ行ける可能性が開けた。2)1)の手術が成功した患児では、ほぼ正常の視機能の獲得が確認された。今後は、先天異常等の治療不能で極端に視力不良な患児では、点数評価による客観的視覚評価法を検討する。3)視覚刺激訓練、屈折矯正等を行い、ロービジョンケアの専門家とともに有用視力獲得の研究を開始した。順調な視力発育が確認されている。先天異常等の治療不良な患児における全身リハビリテーションと組み合わせた残存視覚訓練プログラムの作成、検討は次年度以降の課題である。4)ロービジョンケアのための支援器具:眼鏡式の拡大鏡を開発、試作した。まだ臨床応用段階ではなく、次年度より、視覚障害児で試用を開始する予定である。
結論
1)重症未熟児網膜症に早期硝子体手術、2)網膜電図、視覚誘発電位やPreferential Looking法を含めた視力評価、新規液晶モニター視力測定装置の開発、3)視標の大きさを可変にしてゲームを行わせる訓練装置の開発、4)支援器具として眼鏡式の拡大鏡試作、の成果を得た。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
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