先天性難聴児の聴覚スクリーニングから就学後までの補聴器・人工内耳装用効果の総合追跡研究

文献情報

文献番号
200627016A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性難聴児の聴覚スクリーニングから就学後までの補聴器・人工内耳装用効果の総合追跡研究
課題番号
H18-感覚器-一般-003
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
加我 君孝(東京大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山岨 達也(東京大学 医学部 耳鼻咽喉科)
  • 福島 邦博(岡山大学医学部 耳鼻咽喉科)
  • 坂田 英明(埼玉県立小児医療センター 耳鼻咽喉科)
  • 神田 幸彦(神田耳鼻咽喉科 entクリニック耳鼻咽喉科)
  • 城間 将江(国際医療福祉大学 言語聴覚障害学科 言語聴覚障害)
  • 内山 勉(富士見台聴こえとことばの教室 聴覚障害)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先天性難聴児のうち、早期発見あるいは、1~2歳という遅れて発見された難聴児の中で、人工内耳手術を受けたものが、現在どのような問題に直面しているか明らかにすべくアンケート調査を行うことにした。
研究方法
対象は平成7年から17年の間に東大耳鼻科で人工内耳手術を受けた小児53例である。アンケートはO’Neil Int.J.PORL に公表された`Parents and their cochlear implanted child;questionnaire development to assess parental views and experiences`を翻訳した。これに自由意見の欄を加えて用いた。同じものを岡山大学・長崎大学でも用いた。
結果と考察
研究結果:アンケート調査の回収率は72%(39)であった。アンケートは10の大きなカテゴリーから成る。項目は1コミュニケーションについて、2全体的な効果、3自立、4生活の楽しみ、5社会関係、6教育、7手術について、8人工内耳の効果、9手術を受けるまでの心配と決心、10子供への支援、である。各項目に対してのレスポンスは,A:まったくそのとおり、B:そのとおり、C:なんともいえない、D:そうではない、E:まったく違う、の5つのうちどれかを選ぶようになっているが、人工内耳手術にたいしては3/4が肯定的であることがわかった。
考察:小児の人工内耳手術はアンケート調査によると多くの両親はその結果もたらされた聴覚・言語の著しい向上に喜んでいることがわかった。コミュニケーション能力が補聴器に比べ著しく改善し手がかからなくなっているからである。しかし、聴覚・言語の発達が緩慢である例もあり、心配している場合もある。特に学校での教育環境や将来の社会での活動などの心配が顕著である。人工内耳による聴覚は完全に健常児に近いが、まったく同等なわけではないため、今後学校や社会での理解と受け入れ体制を整備する必要がある。現在世界中で進行中の小児の人工内耳手術は各国で同様な成果と同様な問題に直面しているのであろう。今後の対策についても国内外で協力して取り組むことが重要となろう。
結論
人口内耳手術はほとんどの両親にはふりかえってみて肯定的であるが、教育上の新たな問題に直面していることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-17
更新日
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