内耳プロテオーム解析を応用した外リンパ瘻の新たな診断法の開発・治療指針の作成

文献情報

文献番号
200627013A
報告書区分
総括
研究課題名
内耳プロテオーム解析を応用した外リンパ瘻の新たな診断法の開発・治療指針の作成
課題番号
H17-感覚器-一般-002
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
池園 哲郎(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 淳(日本医科大学 第二生化学)
  • 斎藤 明彦(日本医科大学 耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
外リンパ瘻は迅速に手術治療を行うことで劇的な治療効果が得られる。難聴・平衡障害の原因疾患「外リンパ瘻」の新たな確定診断法を開発して、早期に確定診断し、治癒率の向上をもたらすことが目的である。
研究方法
A.CTP検出法による外リンパ瘻の確定診断法の確立
 優れた臨床検査法には、特異性、感受性が高く、かつ簡便、確実で、患者への侵襲度が低いことが求められる。CTP検出法の特異性、感受性を向上させるため、数種類の抗CTPペプチド抗体を作製しその有用性を評価する。検査をより正確・迅速に行うため、現在行っているウェスタンブロット法の改善、更に高感度化・簡便化のためのエライザ法や、イミュノクロマト法を検討する。
B.マルチセンタースタディーによる診断・治療指針の確立
 各施設から外リンパ瘻症例の中耳洗浄サンプルを提供していただき多施設の臨床データを比較検討する。その結果、今まで不明だった外リンパ瘻の発症率、自然治癒率の検討、至適手術時期や治療指針の確立が可能となる。
結果と考察
CTPの外リンパ発現特異性は、100%であった。ウエスタンブロット法で、臨床サンプルの検討を開始した。今年度は150検体を検査(国内15病院)さらに北米、イタリア、韓国より検査依頼があった。今まで原因のはっきりしなかった外傷性難聴、小児の変動性感音難聴、突発性難聴、メニエール病などに外リンパ瘻が含まれている事を明らかにした。さらに、めまいのみで難聴が無い外リンパ瘻も存在し、今までの常識を覆す結果だった。さらに、耳管通気治療による医原性外リンパ瘻と思われる3症例(病歴上、通気直後から発症した症例であり2/3症例がCTP陽性)を経験した。
この成果は、難聴診断・治療の新たなEBM確立に多大なる貢献をする。
結論
本研究の効果を記す。
 短期的には、本検査の普及により外リンパ瘻の早期診断治療が可能になり治癒率が大きく改善し、保険医療の適正な運用をもたらす。
 長期的には、外リンパ瘻が原因となる可能性が指摘されている突発性難聴、特発性難聴、メニエール病、小児の難聴(奇形に伴う外リンパ瘻)などの治療に貢献する。既に国際特許を申請しており、日本発の臨床診断検査法として、その社会的効果、経済効果が期待されており、日本経済新聞、読売新聞医療ルネッサンスで報道された。

公開日・更新日

公開日
2007-06-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-01-23
更新日
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