文献情報
文献番号
200627009A
報告書区分
総括
研究課題名
視覚障害者、盲ろう者向け音声・点字コンピュータ・オペレーティングシステムの開発
課題番号
H16-感覚器-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
石川 准(静岡県立大学国際関係学部)
研究分担者(所属機関)
- 河村 宏(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部)
- 寺島 彰(浦和大学総合福祉学部)
- 湯瀬 裕昭(静岡県立大学経営情報学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 感覚器障害研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,502,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究はPCの汎用性と専用携帯情報端末の操作性を同時に実現すべく、LinuxのCUIコンソール環境に注目し、それにAUI(音声ユーザインターフェース)とBUI(点字ユーザインターフェース)を搭載する統合環境(エディタ、ブラウザ、メーラ等がシームレスに動作する)を開発する。それにより、視覚障害者、盲ろう者がコンピュータの専門的な知識がなくても就労や生活の場において自力で効率的に操作できるコンピュータ・オペレーティングシステムをオープンソースで実現する。
研究方法
本研究は本格的なLinux用スクリーンリーダを独自に開発するという方法を選択した。また、AUI/BUI対応アプリケーションとスクリーンリーダの連携を実現する方法としてGRIFというブリッジを開発した。このブリッジでスクリーンリーダと通信するという方式で、エディタ、インターネットブラウザ、電子メールソフトウェアからなる統合環境を開発しOSに標準装備した。さらには、インストール作業という大きな障壁を除去するために、CD起動が可能なLinuxディストリビューションの開発のための研究も行った。
結果と考察
平成18年度は、一般の利用者にとっても使いやすい統合環境を開発する目的で、音声・点字統合環境(Sirius on Linux)を開発しシステムに組み込んだ。当初、Siriusは平成16-17年度にテクノエイド協会の福祉用具研究開発助成を受け、Windows環境を対象として開発を行った。Siriusの本音声・点字オペレーティングシステムへの主たる移植作業は、WindowsのAPIで構成されていたView部分を、UNIXの端末用として新たに実装する作業であった。また、音声合成、点字ディスプレイの機能を実現するためにACC Driverを呼び出していた部分については、音声・点字オペレーティングシステムのスクリーンリーダインターフェースであるGRIFを呼ぶ形式に変更した。
結論
三年間の研究により、高機能日本語Linuxスクリーンリーダ、インターネットブラウザ等により構成される統合環境、CD-ROMドライブから起動できるディストリビューション・パッケージを完成させることができた。その結果、技術者はもとより、一般の視覚障害者、盲ろう者が効率的に使える音声・点字コンピュータ・オペレーティングシステムが実現した。これによりサーバ・ネットワーク技術者、システム管理者等への視覚障害者等の一般就労を強力に支援する新しい支援技術が実現した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-09
更新日
-