文献情報
文献番号
199700216A
報告書区分
総括
研究課題名
関東広域災害に対する医療体制の構築ー多施設協力体制の構築
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
友保 洋三(国立病院東京災害医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 原口義座(国立病院東京災害医療センター)
- 荒井他嘉司(国立病院東京災害医療センター)
- 村山良雄(国立明石病院)
- 西法正(国立病院東京災害医療センター)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 保健医療福祉地域総合調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
広域災害による多数傷病者発生時に地域住民を主な対象として、効果的な医療体制を構築することを目的とする。これには、速やかかつ正確な情報収集に基づいて,患者選別,搬送,救急医療を可能とする体制が必要であり、また同時に、マニュアルを作成し、総合訓練を、種々の条件下に施行することにより、その有用性、問題点を検証する必要がある。
すなわち、情報収集体制、マニュアル作成、総合訓練シナリオの作成も研究目的である。
すなわち、情報収集体制、マニュアル作成、総合訓練シナリオの作成も研究目的である。
研究方法
本研究を行うには、多施設が近距離に位置し、相互の意思伝達が可能なことが、重要な条件である。その意味で当院が所属する立川防災基地を選択した。立川防災基地には、全施設が加わった立川防災基地連絡会があり、上記の必要条件を充たしていると考えられたからである。
立川防災基地連絡会の施設内訳は、当院(病院)、消防庁、警察、自衛隊、海上保安庁、地方自治体(東京都、立川市)、国土庁、建設省、食糧庁、日本赤十字輸血センタ-、等である。
この内、1年目の本年度、すなわち第1段階研究としては、上記施設の内でも最も重要な?病院、?警察、?消防、?自衛隊の4施設に焦点をあて、その役割・災害時に利用できる機能全般・マンパワー等について、調査した。またこの4施設および共同研究者による研究会を行い、問題点を洗い出した。
具体的な検討テーマは、各施設毎の?情報収集・伝達システム、?各施設の活動基準とその活動方法、に加え、?複数の施設間の総合的な協力・調整機能、方法の将来のあり方、等に関してである。病院の対応に関しては、更に ?医療班の派遣方法、?多数傷病者受入方法、の項目も加えた。
なお2年目以降の研究計画の方法としては、?これらの調査に基づいて、多数傷病者の搬送・トリアージ・救命処置等の治療方法を確立する、?それらに基づいた災害訓練・マニュアル作成を行う、?4施設以外の施設(これには、上記立川防災基地内の施設の他、地方自治体・保健所も含む)も対象とすることとしている。
立川防災基地連絡会の施設内訳は、当院(病院)、消防庁、警察、自衛隊、海上保安庁、地方自治体(東京都、立川市)、国土庁、建設省、食糧庁、日本赤十字輸血センタ-、等である。
この内、1年目の本年度、すなわち第1段階研究としては、上記施設の内でも最も重要な?病院、?警察、?消防、?自衛隊の4施設に焦点をあて、その役割・災害時に利用できる機能全般・マンパワー等について、調査した。またこの4施設および共同研究者による研究会を行い、問題点を洗い出した。
具体的な検討テーマは、各施設毎の?情報収集・伝達システム、?各施設の活動基準とその活動方法、に加え、?複数の施設間の総合的な協力・調整機能、方法の将来のあり方、等に関してである。病院の対応に関しては、更に ?医療班の派遣方法、?多数傷病者受入方法、の項目も加えた。
なお2年目以降の研究計画の方法としては、?これらの調査に基づいて、多数傷病者の搬送・トリアージ・救命処置等の治療方法を確立する、?それらに基づいた災害訓練・マニュアル作成を行う、?4施設以外の施設(これには、上記立川防災基地内の施設の他、地方自治体・保健所も含む)も対象とすることとしている。
結果と考察
多施設協力体制を確立する上で、次に示す幾つかの問題点が明らかになり、またその基本的な今後の解決方法が示唆された。
?基本的には各施設は、当然上部指揮命令系統に基づいて行動する。これは多くの災害での初期活動としては有効である。
?しかし災害発生直後には、情報の不足等のため上部よりの情報伝達・指揮が遅れる可能性もある。また大災害では、各施設単独では、対応能力が不足する可能性もある。特に特殊災害(NBC Disaster等)では、可能性が高い。そのような局面を考慮した対応方法として地域毎の多施設間の協力体制の確立も検討する必要がある。
?一方、現時点では、各施設間の協力をいかに行うかは、必ずしも確立されていない(それゆえ、本研究による今後の協力システムの確立が必要である)
?しかし好ましい流れとして、阪神大震災・サリン事件等の反省も含め、法的な面での一部の改善、多施設参加型の災害訓練(当院が関与したものだけでも、立川防災・航空祭、東京都災害訓練、民間病院との共同訓練など多数)が進められており、これを充実してゆくことも、多施設協力体制につながる有効な方法と考えられる。
?多施設協力体制を念頭においた病院側(当院)の現状 特に医療面からの検討では、?各種情報収集システム(電話、各種無線(国土庁、東京都、立川市他)の信頼度の向上、?医療班の派遣・多数傷病者受入を含めた活動方針の確立は、過去3年間に行われた災害訓練及び当院災害マニュアル等により、ほぼ円滑に施行できるようになりつつあると考えられた。
?基本的には各施設は、当然上部指揮命令系統に基づいて行動する。これは多くの災害での初期活動としては有効である。
?しかし災害発生直後には、情報の不足等のため上部よりの情報伝達・指揮が遅れる可能性もある。また大災害では、各施設単独では、対応能力が不足する可能性もある。特に特殊災害(NBC Disaster等)では、可能性が高い。そのような局面を考慮した対応方法として地域毎の多施設間の協力体制の確立も検討する必要がある。
?一方、現時点では、各施設間の協力をいかに行うかは、必ずしも確立されていない(それゆえ、本研究による今後の協力システムの確立が必要である)
?しかし好ましい流れとして、阪神大震災・サリン事件等の反省も含め、法的な面での一部の改善、多施設参加型の災害訓練(当院が関与したものだけでも、立川防災・航空祭、東京都災害訓練、民間病院との共同訓練など多数)が進められており、これを充実してゆくことも、多施設協力体制につながる有効な方法と考えられる。
?多施設協力体制を念頭においた病院側(当院)の現状 特に医療面からの検討では、?各種情報収集システム(電話、各種無線(国土庁、東京都、立川市他)の信頼度の向上、?医療班の派遣・多数傷病者受入を含めた活動方針の確立は、過去3年間に行われた災害訓練及び当院災害マニュアル等により、ほぼ円滑に施行できるようになりつつあると考えられた。
結論
本研究は、広域災害による多数傷病者が発生した時にいかにして効果的な医療体制を構築するかを目的としたものである。当院が所属する立川防災基地内の全ての施設から成る立川防災基地連絡会をとりあげ、?情報収集・伝達システムのあり方、?各施設の災害時の活動(開始)基準、?複数の施設間の総合的な協力・調整機能のあり方、等を検討した結果、有効に機能する上で、幾つかの問題点とそれらに対する一定程度の解決方法が提示された。すなわち、基本的には各施設は、上部指揮命令系統に基づいて適切に行動する必要がある。しかし、災害の発生部位、災害の種類によっては、同時に迅速な多施設の協力体制が必要な局面も出現する。これらに対しては、まだ十分な対応体制は確立していないが、当院も中心となって施行している多施設参加型の災害訓練等により徐々に確立してゆくことが可能と考えられる。本研究は、3年間の予定で、現在1年を経過した時点であるが、引き続き継続して、この多施設参加型の協力体制の構築を研究する必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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