精神障害者の自立支援のための住居確保に関する研究

文献情報

文献番号
200626035A
報告書区分
総括
研究課題名
精神障害者の自立支援のための住居確保に関する研究
課題番号
H18-障害-一般-010
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 宮田 裕章(東京大学大学院医学系研究科)
  • 蓑輪 裕子(聖徳大学短期大学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
精神障害者が退院し、地域で生活をするためには、生活の基盤となる住居の確保が必須である。しかし住居を借りる際に、様々な点で精神障害者が困難を強いられている。そこで、住宅供給側の意識を把握して、精神障害者への住居の供給を阻害する要因を探り、供給を促進するための諸条件を明らかにすることを目的とした。加えてグループホームの運営と並行して精神障害者の賃貸住宅居住を支援しているNPO法人に対して、住居の供給の課題および工夫を明らかにする。また日本に居住する外国人も、精神障害者と同様に住宅に困窮しているものは少なくない。これら対策について文献的検討を中心に取り組みの変遷と現状を把握すると共に、精神障害者向け施策として役立つ知見を得ることも目的とする。さらに既存の住居確保システムや財産保護・権利擁護制度の活用可能性、精神障害者特有の支援の必要性などを検討することを目的とした。
研究方法
不動産業者、精神障害者グループホームへの聞き取り調査を行った。また、外国人向けの賃貸住宅入居支援策について文献などを整理した上で、外国人住居支援に取り組むNPO法人に対しに聞き取り調査を行った。さらに実践経験の豊富な研究者と、不動産の取引や財産の活用・保全などに幅広く関わっている専門家の協力を得て、具体的に利用可能な制度の確認作業等を行い、住居確保等に関する既存制度の活用可能性を検討した。
結果と考察
精神障害者が民間賃貸住宅に居住する際に、不動産業者や家主、近隣の住民などの理解、家賃面などから適する住居の少なさ、保証人の問題があり、また居住後の対策として、火災等の事故予防、安否・病状の確認、食事・ゴミ出し等の生活支援、があることが明らかとなった。これらに対して、グループホームの運営者の中でいくつかの取り組み、工夫がなされてきており、これらの情報を幅広く共有することが必要である。またいくつかの既存の制度や専門家を有効活用することで、住居確保が容易になる可能性が示唆された。
結論
居住前に解決すべき課題およびその対応策が把握できた。これらの知見を各法人や関連諸団体と共有することで、今後の住居確保が円滑に進むことが期待される。またこれらに対し、既存の施策を発展させることで、より多くの精神障害者向けの住居確保が可能となると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-