虞犯・触法等の障害者の地域生活支援に関する研究

文献情報

文献番号
200626031A
報告書区分
総括
研究課題名
虞犯・触法等の障害者の地域生活支援に関する研究
課題番号
H18-障害-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
田島 良昭(社会福祉法人南高愛隣会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
罪を犯し、又は罪を犯す虞のある障害者の地域社会での自立促進を図る観点から、実態調査を実施し、現状における問題点を探るとともに、就労、生活訓練、地域生活支援への移行のあり方、社会復帰に向けた福祉分野の役割と矯正及び更生保護の関係機関等との連携の具体的な取り組み、法的整備に関する課題等を分析する。
研究方法
罪を犯した障害者の自立促進にどう取り組むかをテーマに関係省庁と連携し、実践的モデル事業を実施し、その中で見えてくる課題について、解決をはかる。
結果と考察
平成18年10月31日現在、5部制の一般刑務所15庁(A系列:4庁、B系列:11庁)の入所者27,024名のうち知的障害者又は知的障害が疑われる者は410名、平均年齢48.8歳、療育手帳所持者は26名。
今回の受刑が2回目以上のものは285名(68.5%)、その内54.4%に当たる162名が5回以上の入所回数になっている。32.3%が1ヶ月未満で、60%が1年未満で再犯に至っている。
80.7%が犯行時に無職、中学校卒業以下が86.1%と社会的後ろ盾に乏しく、94.4%が未婚・配偶者と離別し、出所時に父母など家族が身元引受人になるのも19.5%と、バックアップする親族も非常に少ない。
犯罪の動機は「困窮・生活苦」(36.8%)「利欲」(20.7%)が上位をしめているが、一人孤独な生活ゆえに再犯を繰り返してしまうことが推測できる。


結論
1.障害者療育手帳の所持者が少ない。
2.知的障害者の認定は本人または保護者等が申請し、各都道府県の判定機関(児童相談所、更生相談所等)で認定判定を受ける。ただし、国に統一認定基準がないことや、おおむね18歳までに障害が発生したことを証明する資料が必要なことから、手帳取得に必要な障害認定をもらえない事例も多く報告されている。
3.障害認定で社会生活への適応能力が考慮されていない。社会生活の不適応がひどく、福祉施設での処遇が困難な人ほどIQが高い場合が多く、必要な福祉サービスと提供できる福祉サービスにギャップが生まれている。
4.身元引受人が少ないため80%が満期出所になる。更生保護施設が更生緊急保護事業を実施しているが引き受け先は少なく、現状では身寄りもなく放り出される。
5.法務と厚生福祉をつなぐ、架け橋が不足している。福祉の専門職の設置、生活トレーニングや労働訓練を行う中間施設や支援のプログラムが必要。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
-