障害者自立支援法下での重症心身障害児等に対する施設サービスの効果的な在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200626030A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者自立支援法下での重症心身障害児等に対する施設サービスの効果的な在り方に関する研究
課題番号
H18-障害-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
澤野 邦彦(社団法人日本重症児福祉協会)
研究分担者(所属機関)
  • 木実谷 哲史(島田療育センター)
  • 宮野前 健(国立病院機構南京都病院)
  • 小田  浤(旭川荘療育センター療育園)
  • 梶原 眞人(愛媛県立中央病院総合周産期母子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 障害児・者の療育や支援において極めて大きな役割を果たしてきた、貴重な社会資源である重症心身障害児(以下、重症児)施設や肢体不自由児施設を、障害者自立支援法(以下、支援法)の下でも有効活用し、効率的な運用を図っていくための方策立案に利用しうる客観的な資料を得ること。
研究方法
 (1)国立病院機構を含めた重症児施設における、支援法に基づく新体系への移行状況、(2)肢体不自由児施設における重症児の実態、(3)新生児集中治療室(以下、NICU)における長期入院の実態、(4)オランダの「特別医療保険制度(AWBZ)」の動向と重症児・者への支援の実態と、欧米での「重症児・者」の定義と評価、につき調査。
結果と考察
 (1)全国188ヵ所の重症児施設のうち新体系へ移行したのは、公法人立施設および国立病院機構で各1施設のみで、ほぼすべての施設では、「経過措置」を選択し、「重症児施設」として運営を続けていた。移行を考えなかった理由は、「他施設や都道府県の動向をみて」、「法自体や市町村の対応が不明確」が多く、現時点では法(制度)自体が未成熟で実績に乏しく現体制との乖離が大きく、自治体の動向や対応にも不明確な部分がまだ多く、特に財政的不安は相当に大きく、施設運営の基盤そのものを揺るがしかねないとの危機感が強かった。(2)全国63の肢体不自由児施設では、入所児の36%が重症児であった。(3)全国188施設のNICUにおいては、新生児期より引き続き1年以上の長期入院児は病床数の約5%を占めており、全国で300-350人と推計された。長期入院児の存在が70%の施設で新規入院の妨げとなっており、重症児施設等地域の療育センターへの受け入れが望まれていた。病床不足は周産期医療体制において早急に対策を講じるべき課題で、長期入院児の受け入れ側の重症児施設に対する条件整備が強く望まれる。(4)オランダにおいても最重度知的障害者の支援に関しては「統合・包括」の方向性のみでは対応困難をきたしていると考えられた。


結論
 全国重症児施設ではほぼすべての施設で「経過措置」を選択し、「重症児施設」として運営を続けていた。肢体不自由児施設では、入所児の36%が重症児であった。NICUでの長期入院児は病床数の約5%を占め、70%の施設で新規入院の妨げとなっており、重症児施設等地域の療育センターへの受け入れが望まれていた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
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