在宅要介護高齢者の褥瘡有症の状況と予防ケアプログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
199700214A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅要介護高齢者の褥瘡有症の状況と予防ケアプログラムの開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
斉藤 恵美子(東京大学医学系研究科地域看護学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 中村元信(量子科学研究振興会量子科学研究所学術部)
  • 福田庸子(東京大学医学系研究科地域看護学教室)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 保健医療福祉地域総合調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
褥瘡に対するケアは,訪問看護ステーションで実施されている援助内容の約30%を占め,医療処置としては最も多い項目としてあげられている。しかし,在宅での褥瘡発症の状況や実施されている褥瘡ケアの実態などに関する研究はほとんどみられていない。そこで,全国の訪問看護ステーションを対象に褥瘡有症率および発症割合,褥瘡のケア内容,褥瘡発症者の実態を把握し,褥瘡発症に関連する要因の検討を行うことを目的とした。
研究方法
調査対象は,1995年に行われた訪問看護ステーションにおける「在宅高齢者の褥瘡発症の特徴」に関する調査で回答が得られた全国620カ所の訪問看護ステーションとし,質問紙による郵送調査を行った。調査項目は,褥瘡予防・発症後のケア,褥瘡発症者の基本属性,褥瘡の状況等とした。その結果,294カ所(回収率47.4%)から回答が得られ,有効回答は,訪問看護ステーション215カ所,褥瘡有症者864名であった。
結果と考察
対象とした訪問看護ステーション215ヶ所の全利用者数10,750人中褥瘡有症者総数は864人であり,褥瘡有症率は8.0%であった(1997年7月1日現在)。また,1年間で新たに褥瘡が発症した総数は397人であり,褥瘡発症割合は3.7%であった。
訪問看護ステーションで,褥瘡予防のための共通手順を有しているのは全体の75%であり,その中で手順が文書化されているのは19.3%だった。褥瘡発症後の手順がありは全体の72.6%,褥瘡の状態に対するアセスメント基準ありは46.5%であった。また,褥瘡発症者の状況は,部位では仙骨部が最も多く(45.6%),深度?に占める割合が最も多かった(39.4%)。ブレーデンスケールスコア3)の合計点の平均は,12.7 点と低い値を示した。
褥瘡ケア内容と褥瘡有症率の推移では,プライマリナーシング導入の有無,非常勤看護婦数で関連がみられ,除圧用具の使用,エアマットの選択基準,摂取カロリーの程度,保清の実施頻度で関連の傾向がみられた。また、褥瘡発症割合では,除圧用具の使用,褥瘡ケアアセスメント基準の有無で関連がみられた。
結論
1.訪問看護ステーションでの褥瘡有症率は8.0%,褥瘡発症割合は3.7%であった。
2.褥瘡発症状況では仙骨部が45.6%,深度?が39.4%であり,ブレーデンスケールスコアの合計点平均値は,12.7点であった。
3.褥瘡有症率の増減および褥瘡発症割合と褥瘡ケア内容では,プライマリナーシングの導入有無,非常勤看護婦数,体位変換の頻度,褥瘡ケアアセスメント基準の有無で関連がみられた。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)